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楽恋鉄路旅情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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楽恋鉄路旅情 1

 "ピーーッ"

ガタン、
ガタン、、
ガタン、、、

時刻は午前2時を回ったところ。外は真っ暗で景色なんてものは見えない。
定刻通りなら水上辺りだろうなどと考えながらソファーに倒れ込む。足元が少し寒い。
僕はテーブルの上にあるウイスキーに手を伸ばす。茶色い小瓶には僅かながら浮き世を離れさせてくれる魔法の液体が入っているはず・・・。
しかし、茶色い小瓶には一口分の「雫」しか残っていなかった。
 僕の隣には、ほんのり頬を赤くした女性がトロンとした目でいじわるそうな顔をしてこちらを向いて座っている。
「この飲んだくれ」
「早く飲まない篤史がわるいんじゃない。」
「あのなぁ綾香、お前はもうすでに一瓶空けてるだろう?もういいかげん止めとけよ。」
「なによぉ、年上に命令する気?どんだけ飲もうが私の勝手でしょう?あら、もしかしてお姉さんと勝負したいのかしら?まぁ勝てないでしょうけど。」
「はいはい、お姉さまにはかないませんよ。ちくしょう、やけ酒だ。」
僕はビニールから缶チューハイを取り出す。彼女は手提げからポケットウイスキーを取り出す。
「はい、じゃあ旅立ちを祝って乾杯しよ〜。」

「あんた、まだ隠し持ってたのかよ・・・」
 僕の名前は「谷川 篤史」、都内の某私立大学に附属高校から進学した。現在一年生で、自他共に認める鉄ちゃんである。隣にいるのは僕の彼女で「坂本 綾香」、同じ大学に通うが彼女は三年生。無類の酒好きで、彼女も鉄ちゃんだ。
付き合い始めたのは今年の1月頃で、綾香は当時高校生だった篤史の塾の講師をしていたのだが、鉄ちゃんである篤史と意気投合して、綾香が半分酔っ払った時に綾香から突然「私たちこれから付き合うのよ。イヤかしら?」 

などということを言われたが、篤史も少しは綾香に好意をいだいていたため、なんだか恋人同士になってしまったのである。
 綾香は眼鏡をかけていて、とても知的でさっぱりしていそうな感じに見えるが全くそのとおりの性格で、ときたまハートにグサリと刺さるような鋭い言動があるものの、普段はおとなしい女性だと思う。(そう信じたい)

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