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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 10

こうして俺は手に風船とビラを持ちながら学園内を歩く羽目になった。
ちなみに、ビラの内容は購買と食堂のものだっりするんだけど、これってある意味バイトじゃねぇのか?
心の中で後で柊からバイト料を請求してやろうと考えつつ俺はビラと風船を配りながらメモ用紙に指示された場所を目指していた。
しかし、学内でこんなデタラメな格好で歩いてる奴がいるのに、生徒はおろか教師まで無関心ってどうよって思うね。
まっ、お陰で助かってるんだけど。
着ぐるみを着た俺は適当にビラを配りながら柊がメモに指示した場所を目指していた。
その指示した場所は『作法室』だった。
なんで作法室なのか分からないけど、今の俺は嗤にも縋る気持ちなのは言うまでもなかった。

そして、無事に作法室に着いた俺はドアを軽くノックして中に入ると意外な人が俺を出迎えてくれた。
「ケイさん、お久し振りですね」
畳敷きの作法室にいたのは付属の大学へ進学したはずの香澄先輩だった。
しかし驚くのはそれだけではなく、香澄先輩の服装と手にしている物にも驚かされた。
袴姿に薙刀である。
作法室のドアを閉め、着ぐるみを脱いだ俺は一体どうした事なのか聞こうとすると、香澄先輩はにっこりと笑いながら俺が脱いだ着ぐるみを丁寧に畳みながら話してくれた。
「私は智香ちゃんから話を聞いてケイさんを守りに来たんですよ。勿論、香織ちゃんにも指一本触れさせませんよ」
香澄先輩、表情は朗らかな笑顔ですが口調がやたら気合い入ってますよ。
「それに私達、友達じゃないですか。友達の苦境を助けるのは当然の事でしょ」
ああ、こんな状況だからそう言ってくれるのは嬉しいです。
でも、香澄先輩は薙刀の経験者なのだろうか?
いつも奥ゆかしいお嬢様な姿しか思い浮かばない俺は不安になって尋ねると、これまた意外な答えが返ってきた。
「私、こう見えても薙刀は師範代の腕前なんですよ」
能ある鷹は爪隠すとは言うが、見事な隠しっぷりですよ。

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