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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 11

「では、ケイさん参りましょう」
すっかり戦闘準備を整えた香澄先輩は「何処に?」と聞く俺ににっこりと微笑みながら答えてくれた。
「まず、今回の騒動に便乗してる人達を片付けます。間引きです」
香澄先輩がそう言いながら作法室を出た瞬間、大勢の男子生徒がこっちに向かって傾れ込んできた。
「ケイさん、後ろへ……」
香澄先輩は片手で俺を下がらせると、瞬時に表情を変え薙刀を構えたかと思いきや気合いを入れた掛け声と共にその薙刀を振り下ろす。
先頭にいた男子生徒数人が倒れると同時に他の男子生徒達は固まってしまった。
「下がりなさいっ! 大勢の男子が一人の女の子を追い回すなんて愚行は私が許しません。それ以前に男子として女の子を追い詰める行為に恥を知りなさいっ」
まさに一喝だった。
卒業生である香澄先輩だけど『清櫻の姫』の威光は未だに健在らしい。
香澄先輩の気迫に騒めきながら気圧される男子連中の後ろから思わず眉をしかめたくなる高笑いがこだまする。
「はっはっはっ。朱鷺塚先輩、相変わらずお強いですね」
騒めく男子達の間から出てきたのは藤堂聖夜だった。
「あら、藤堂くん。貴方までこのバカ騒ぎに参加しているんですか?」
「まさか……と、言いたいところですが今回は生徒会長として、一人の男としてケイさんを他の男達の毒牙から守る為に参加する事にしたんですよ」

香澄先輩の問いに爽やかな笑顔で答える藤堂。
「……で、本音は?」
「ケイさんの唇は私のものだ! ケイさんは誰にも渡さん!」
藤堂の素直な欲望を聞いた香澄先輩と俺は思わずこのアホな生徒会長をジト目で見ていた。
「それなら、藤堂くんも私達の敵ですわね」
軽く溜息を吐くと香澄先輩は薙刀を藤堂に向けて構え直した。
「朱鷺塚先輩……。そうきますか。なら、手加減しませんよ。ケイさんとの愛を成就させる為、全力でいかせてもらいます!」
俺の背筋が薄ら寒くなるような言葉を叫ぶと藤堂は側にいた生徒会役員から竹刀を受け取ると香澄先輩に向けて構えをとる。
それと同時に香澄先輩と藤堂の間にこのバカ騒ぎに似合わぬ緊迫した空気が張り詰めだした。

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