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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 6

そんなこんなで昼休みは終わり、午後の授業が始まろうとしていた。
「あ゛ーっ……う゛ーっ……」
正直、俺は今までで最高に恥ずかしかった。
ウチの学園の夏の体操着はTシャツにハーパンだから恥ずかしいっちゃ恥ずかしいが、まだ良しとしよう。
問題は着替えだ。
体育の授業の為、女子更衣室で着替える事になったのだが、昨日まで正真正銘男だった俺には女子更衣室の中の風景と女の子の匂いはかなりの衝撃で頭がクラクラしたのだった。
そんな事があって、バスケの試合の間もぼーっとしていた俺のところにバスケットボールが飛んでくる。
「ケイッ! シュートッ!!」
自陣のゴール下で香織が叫んでいる姿を確認した俺は受け取ったボールをドリブルしながら敵陣へ走りだす。
途中、俺からボールをカットしようとする相手チームの女子が行く手を塞ごうとしたが、男の時の感覚と女の身体でもイメージ通りに動いてくれる運動神経に助けられ相手のディフェンスをあっというまに抜き去った。

その瞬間、見学していたクラスの女子達が歓声をあげる。
ディフェンスを全て抜き去った俺はドリブルのスピードを上げ、ゴール下まで走るとそこからレイアップでボールをゴールに入れた。すると、もはや今が授業中とは思えないくらいの黄色い歓声が沸き上がり、俺は呆気にとられてしまった。
「流石ケイさんですね。運動神経抜群ですからどんなスポーツもそつなくこなしますわね」
側にいた美弥が俺に声を掛けると嬉しそうな笑顔をみせる。
もう、これでもかってくらいの笑顔だけど美弥さん、あなたは確かに敵チームなのでは?

俺のシュートを見て無邪気な笑みを見せる美弥を睨むような目付きで不愉快そうにしている香織の姿が視界の隅に映った。
正直、自分が睨まれたらすぐに謝ってしまいそうなくらいの睨みだ。
「はあ……これは一波乱ありそうだなぁ……」
俺は誰にも聞こえないくらい小さな声でぼやいたのだった。
そして、俺の呟いた言葉が現実になってしまったのは試合終了直前の事だった。

ボコッ!

「あっ…………!?」
香織からのパスで、俺のところに来るはずだったバスケットボールが事もあろうか美弥の後頭部に直撃したのだった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ〜〜〜〜〜〜」
ボールは転々と転がり美弥は後頭部を押さえ声にならない呻き声を出しながらその場にしゃがみこんだ。

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