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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 17

美弥の顔にハンマーの影が忍び寄るが、彼女は全く恐れていない。それどころか自信に満ち溢れた顔をしている。

次の瞬間─

電算室から鐘の音が響いた。
「殴ったね、二度も殴った、親父にも殴られた事ないのに!!」
美弥は目を潤ませながらそう言った。両手で押さえている頭には、白いテープのような物がクロスして貼られている。

「意気込みはよし、だが相手がひよっこではな!!オーホッホッホッ」
片手で巨大なハンマーを振りまわす加奈子の姿は、今まででは想像できない程勇ましかった。
「ちょっと加奈子、手加減しなさいよね!!」
美弥の潤んだ目を見て、香織は加奈子に立ち向う。手には何故かハリセンを握っている。
その時、勢い良く電算室の扉が開かれた。
その場に居た面々が扉の方に目をやると、そこには櫻華学園の頂点である二階堂学園長の姿があった。
「親父っ!? 何故ここがっ……」
「ふんっ。強者の気配などすぐに分かるわ! 今回、部費アップという餌も蒔いたからそれなりに挑戦する者もおったが、まだまだ精進が足りぬ者も多かった。お前等はどうかな?」
不適な笑みを見せる学園長を前に各々に緊張が走る。
学園長の体からは大量の蒸気が上がり、部屋全体が白く霧がかっていた。
息子とは違い彼の肌は茶色に焼けている、半袖からは人間の物とは思えない程太い腕が伸びており、その掌は人間を鷲掴みにできそうなぐらい大きかった。その姿を見た者は“本物”の鬼だと言われても疑う事はないだろう。

「笑止!!」
その鬼の前に加奈子が堂々と立ち向かう。

「柊加奈子か…貴様は主催者側の人間、余計な手出しは許さんぞ…」
「手出しはしないわ、でもこんな狭い所じゃ学園長の力が出しきれないと思うの」
「何を企んでおる……ふっまあいい、10分後に体育館に来い、さもなければケイとのデートは─」
『私がするの!!』
二人の声が重なった。学園長が加奈子の後ろを見ると、香織と美弥が腕を組んで仁王立ちしている。

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