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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 16

スパーン!!
混乱している香織の頭を乾いた音が襲い電算室に軽く響いた。
「少し落ち着きなさい、香織」
後頭部に衝撃を受けた香織が後ろを向くと、そこにはハリセンを持った加奈子がやれやれといった顔で立っていた。
「なぜハリセン? てか、そんなものどこから出したのよっ」
「おもむろにハリセンを出すのは淑女の嗜みの一つ。一瞬で薔薇を背後に出すのと原理は一緒よ」
「訳わかんないわよ……。あたし、加奈子と友達になって長いけど今だに理解不能な事が多いわ」
ハリセンで叩かれた後頭部を擦りながら香織は加奈子を見上げた。
「ここは戦場よ?」
勘違いだろうか。加奈子の顔が一瞬“阿修羅”のそれに見えた。しゃがみこんでいる香織と美弥は、目を擦りもう一度加奈子を見上げた。
するとそこには鬼の顔をした加奈子が存在した。

「藤堂と中嶋は香澄先輩に任せて、私達は学園長を狙うわ」
「え〜ケイ争奪戦じゃないのぉ、加奈子の言いたい事は分かるけど、それって私達には関係なくない?ねえ美弥?」
「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ…」
「お〜い、美弥〜戻ってこ〜い」
美弥の肩を掴んで揺さぶる香織。美弥の首がぐらんぐらん揺れるが、一向に彼女は戻ってこない。そこへ加奈子が手を…、いやハンマーを差し出した。
「手緩過ぎるわ、私に任せて」
どこから持ち出したのか、加奈子が巨大なハンマーを振り上げると、次の瞬間、美弥の頭から鐘の音が響いた。
「ちょっ……加奈子さん、何するのよっ!? 一瞬、意識が飛んでお花畑が見えたわよ!」
いきり立つ美弥と全く悪怯れた様子もない加奈子とのやり取りを男二人はポカンと見ていた。
「いやぁ、何だかテレビで観る美弥ちゃんとは全然イメージが違うなぁ」
「だな。俺的には今の方が好きだな。こっちの方が断然面白い」
好き勝手に言う真田と二階堂を余所に香織は美弥の剣幕を止めに入ったのだった。
「そんなに怒らなくていいでしょ?大体美弥が─」
香織の説得が終わる前に、再び加奈子のハンマーが振り上げられた。
「はっ!!」
世界がゆっくりとした動きに変わる。ゆっくりと落ちていくハンマー、美弥はしっかりとそれを睨んでいた。彼女は両腕を大きく広げる、それはまさに真剣白刃取りの格好であった。
ピキーン、美弥の頭に光が走った。
「見える、私にも敵が見えるぞ!!」

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