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ケイとみんなとパラレルな事情
恋愛リレー小説 - ラブコメ

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ケイとみんなとパラレルな事情 12

俺をはじめ、周囲の男子生徒達がこの空気に飲まれ始め、どれくらいの時間が経っただろう。
やたら長く感じる二人の睨み合いから、薙刀と竹刀の先端が微かに揺れた瞬間、このシリアスな雰囲気をぶち壊す叫び声が廊下にこだました。
俺は叫び声がする方に振り向くと、そこには全力で走ってくる幸司の姿があったのだ。
「ちょーーーっと待ったーーーーっ!! 藤堂! キサマにケイちゃんは渡さないぞっ!!」
対峙する香澄先輩と藤堂の前に立ちふさがった幸司は藤堂を指差すと同時に絶叫に近い大声をあげる。
今となってはこいつも頭痛のタネの一つだけど、このテンションの高さに俺は眩暈がしてきた。
「私は誰のものにもならなーいっ!!」
あまりの幸司の暴走っぷりに俺は思わず叫んでしまった。
確かに今の俺の外見は女だけど中身は男だ。
中身が男の俺が男と付き合うなんてそんな気持ち悪いことが出来るかっ!
俺の悲痛な叫びに香澄先輩は背中越しに話し掛けてきた。
「ケイさん、安心して。ケイさんの貞操は私が守ってあげます」
それは香澄先輩の自信に満ちた言葉だった。
そう言う香澄先輩の背中は女の子なのにとても安心感を感じさせるものだった。
「では、そういう訳ですので、最初にそこのお二人には退場して頂きますから覚悟して下さいね。ケイさんを守る為ですから手加減はしませんよ」
香澄先輩はにっこり微笑むと半歩程、幸司達との間合いを詰める。
長くて艶のあるストレートの黒髪が揺れるのと同時に、目にも留まらぬ速さで静かに間合いを詰めた瞬間、香澄先輩は幸司の身体を薙刀で凪ぎ払いにかかる。
しかし、幸司も体育会系の人間である。
間一髪で香澄先輩の一撃を躱したのだ。

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