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君がいなかったら
恋愛リレー小説 - 理想の恋愛

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君がいなかったら 6

その勢いに圧倒されたのか、高嶋は俄かに微笑み、
「若いな…」と声を上げて笑った。
確かに俺のモノは完全には鎮まり返った訳ではなく、
垂れ下がってはいるものの、芯は確実に通っていた。
(あちゃ・・)

高嶋に背中を洗われるそんな中で、脱衣場から人の気配がしだし、
昨晩、湫とグラスを傾けた二人の男が、狭い浴室に笑顔で入ってきた。

「高嶋さん、おはようございまぁ〜す……おっ、湫君!早起きだな!」
そう言う男は、高嶋が言っていた通り、朝の昂りを俺以上に残していた。
その隣の青年は、恥ずかしそうに腰にタオルを巻き、俺に向かい頭を垂れた。

「僕らも混ぜて下さいよ。」
そう言いながら、高嶋の背中に石鹸を滑らせる男に続き、腰巻きの青年もそれに続いた。

湫を先頭に高嶋が湫の背中を洗い、高嶋の背中を半勃ちの男が洗い、その男の背中を腰巻き青年が洗った。

何か子供の時に遊んだ、電車ごっこみたいだ・・などと懐かしみながら、
男だけの生活って…何の気兼ねも無くていいもんだな〜…
などと、湫は心底思っていた…


高嶋の気づかいで食堂で朝食をごちそうにると、湫は何度も頭を垂れ、寮を後にした。
振り返る建物は朝日を浴び、夕べ薄闇の中で見た時よりも一層に古めかしくはあったが
それでも、そのどっしりとした佇まいは、魅力的だった。

これから向かう本店での住まいも、こんな感じでも悪くは無いかもしれないと、その今にも崩れそうな木造を遠くに見る。
2階の窓に、高嶋が制服に着替えている姿が見えた。
その横の窓枠に腰掛け、紫煙を吹かしているのは、半勃ちの男だろうと思えた。
それぞれの窓から湫に気付いた面々が手を振った。
「また遊びに来いよぉ〜」と風が運んできた。

「ありがとぉ〜ございましたぁ〜」
湫は大声で叫び、命一杯に手を振った。

空は青かった。
陽射しは心地よかった。


プッープッー!
クラクションの音で振り返ると、ジャリジャリと小石をかき分け軽自動車が近寄って来た。
湫は怪訝な顔で中を覗き込んだ。
ミラー式のサングラスを掛けた男・・・(誰だ?)
「乗ってください。今日非番なんです・・」
聞き覚えのある声だった・・
サングラスを外し、男は白い歯を出して笑った。

「あ・・・」

腰巻きタオルの、あの青年だった。

「螢谷行くんだろ?今からだと駅で小一時間は待つことになるさ。」
「あ、そうなんですか。」
「ここは都会じゃないからな、時刻表見ずに出るとえらい目に合うさ。」
「いいんですか?せっかくの休みなのに・・」
「いいんだ。いいんだ。どうせ寮にいたってやること無いし、AVでも借りに行こうと思っていたとこさ。」
「すみません・・・」
湫は恐縮しながらその狭いシートに身を沈めた。

腰巻きの青年はそんな湫の顔を嬉しそうに見詰め、ニンマリと笑った。
「な、何か?」
青年はエンジンを吹かし、勢いよく軽自動車を発進させた。
「いやなぁ・・凄いと思ってな・・」
「へ?・・」
「昨晩のご開帳だよ。」
「あ・・・あれですか・・」
「よく出すのか?酒呑むと素っ裸になるとか?」
「まさか!」
湫は頭をブルブルと左右に振った。
「あんなことしたの、始めてです・・自慢できるモノでもありませんし・・」
顔を赤らめ、もじもじと視線を落とした。
「だよな・・それだから凄いと思ってな・・」
「はぁ?」
「立派な奴が見せるのは分かるんだ・・だけど、湫クンのはそうじゃなかった・・」
「・・・・・」
湫は複雑な心境に陥った。
誉められているのか、馬鹿にされているのか分からなくなった。

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