四葉のクローバー。 30
「…………!」
思いたったら一直線
それが、美保の座右の名らしい。
「あ、そっか!!」
「――――!」
鏡に向かって突進するかのごとく走り出した美保は、鏡を確認し、
戻ってくる頃には、満面の笑み。
「ど、どうかした?」
急にコロコロ変わるテンションにいつもながら、ついてけない。
そして、案の定……一人で爆走りしはじめた。
「当たり前だよね!」
「?」
「何で私気が付かなかったんだろ」
「………何が?」
だからぁ、と美保は俺の肩をひやかし程度に叩く。
「すっぴんなんだからさ、やつれてみえて当然だよね!」
「…………」
そういうことかよ!
確かに、よく見ると今日の美保の顔に化粧された様子はない。
……よくわからんけど。
「でもさ、それって喜ばしいこと?」
「えっ?」
「化粧しないとやつれて見えるってことだろ?」
俺は冷静に思ったことをいう。無神経かもしれないけど、
「そ、そうだよね。喜ぶところじゃないよね」
「とくに私って化粧ばえする顔だからかな」
美保は無理に笑っている。誰にでもわかるくらいに。
チクッと胸がまた痛んだ。