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嘘から始まる恋ゴコロ
恋愛リレー小説 - 青春

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嘘から始まる恋ゴコロ 12

「おわっ! なぎ、おまえ頭にアメくっついてるぞ」
 ヒロが身を乗り出すようにしてこっちを見ている。あたしはびっくりして、「へっ? アメ?」
 ヒロが指差すところをさわってみて、どきっとする。祐にもらったハートのゴムだ。キラキラしているハートの飾りをヒロはアメだと思ったらしい。そこに翼の視線を感じて、あたしは無意識のうちにゴムをはずしていた。
「アメじゃないよ。こうゆう飾りなの」
「へぇー。なんかウマそうでいいなっ」
 久しぶりに会ったけど全然変わってないなぁ、ヒロは……
 もともと翼とヒロが友達で、亜紀とヒロが付き合いだしたことがキッカケであたしは翼とも仲良くなった。翼とヒロは家が近所で小学生のときからの付き合いらしい。
「ねーねー。夏休みに四人で旅行に行かない?」
 亜紀の提案にヒロが「いいねぇ」と賛同した。
きっと・・・祐と会う前のあたしだったら2度返事で頷いたと思う。

「あ・・・たし。」
心臓がばくばくと音を立てる。
翼と旅行、なんて今後行けるはずもない。
好きな人との旅行なんてこんなチャンス逃すわけにはいかない。
だけど・・・。
今は祐の顔がちらついて離れない。

ふ・・・と、翼を見ると頬杖をつきながら目を少し細め、こちらの様子を伺っている。
「つ・・ばさ?どうかした?」
自分の心音と翼の視線に堪えきれなかった私が口にした言葉は、消えそうなくらい小さかった。
「いや・・・何でもないけど。」
苦笑いをしながら視線をずらされる。

「あ〜、矢口君のこと考えてるんでしょ?」
横から亜紀が口を挟む。

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