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嘘から始まる恋ゴコロ
恋愛リレー小説 - 青春

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嘘から始まる恋ゴコロ 11

 あたしはつぶやいた。翼があたしのことを何とも思ってないのはわかってたけど、改めて実感させられるとやっぱりツライ。
『ダメ? ムリ?』
『わかんない。亜紀に聞いてみるね』
 あたしの複雑な気持ちなんて露知らず、翼は『オケー(*´ω`*)ノ』
 はぁっとため息とついて携帯をしまったところで担任が現れた。それからSHRのあいだずっと、あたしはため息をつきっぱなしだった。


 映画を観終わったあと4人でファミレスに入った。お客さんはあたしたちと同じ年くらいの人がほとんどで、店内はうるさいくらいだ。席に通されて間もなくミニスカートをはいた可愛い女の店員さんが注文をとりにきた。
 ヒロはメニューを見てるふりをしてチラチラ店員さんの足を見ている。すかさず隣に座っていた亜紀がヒロを睨みつけた。亜紀とヒロは中学のときから付き合ってる。
 睨まれていることに気がついたのか、ヒロはわざとらしく咳き払いをして、「俺、ハンバーグとチョコレート・パフェ」
「お子様かよ」と低い声でつっこんだのは亜紀だ。
 あたしもヒロと同じものを注文しようと思ってたのでぎくっとしてしまう。ハンバーグとパフェってお子様なんだ…… 他のものに変えようと焦ってメニューを見直してると、隣の翼が「焦りすぎ」と笑った。
「だって……」
 翼にお子様って思われたらヤじゃん。あたしはぷいっと翼からメニューに顔を戻した。亜紀と翼が注文をすませ、あたしはますます焦ってきた。あっちを見たり、こっちを見たりして、「じゃっ、じゃあ、シーフード・ドリアと……あとコーヒー!」
 え?っていう表情で三人があたしを見てる。
 店員さんは慣れた手つきでハンディを操り注文を繰り返した。あたしはというと、自分の失敗に気がつき固まっていた。
 あたし……コーヒー飲めないんだったぁ!
 テンパってたせいで、大人なもの=コーヒーということしか頭になく、あたしはコーヒーが飲めないのをすっかり忘れていた。
「すみません。やっぱりコーヒーはやめてチョコレート・パフェで」
 翼が注文の訂正をすると、店員さんは、「かしこまりました。コーヒーをやめてチョコレート・パフェですね」と愛想よく言いながらハンディを操作し、営業スマイルのまま軽く頭をさげてから下がっていった。
「ありがと、翼」
 あたしはホッと胸をなでおろしてメニューを閉じた。翼は笑って、「だから焦りすぎって言ったじゃん」と、あたしの頭を軽くコツンと叩いた。

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