episode of valentine 2
ここでかけたら、また前と一緒だと思ったから。
あたしってこう見えて、なかなか頑固なんだから。
あ、貴方はそんなこと知ってるか。
次の日、またかかってきた。
あたしは出なかった。
次の日も。
そのまた次の日も。
今までこんなことなかったのに…。
もう、やめなよ…。
もう、やめてよ…。
こんなのあなたのガラじゃない。
そしたらメールが入ってた。
『CD返して』
それはあたしが今年のクリスマスにあげた『アイノウタ』。
いやいや、返したじゃーん。
多分、ほんとはそんなんどうでもいいんだと思う。
ただのきっかけにしたいんだと思う。
でも、あたしはメールした。
『家帰って探してみるね』って。
前は、仕事終わって駐車場まで歩く時に電話してた。
『今から行くね』って。
毎日毎日くだらないことで何時間も話してられた。
本当にささやかな、たわいもない話しで。
だから今日も、あなたはあたしがこう言うと思ってた。
『今からから行くね』
本当は少し迷ったんだけど、やっぱりやめた。
『頑固ちゃん』運転しながら一人ぼそっと呟いた。
あなたから、返信はなかった。
これで、いいんだ…。
これで…。
多分あたしは、もう一度あなたに会うのがこわいんだと思うんだ。
強がって、平気なふりして、ホントは会いたくて仕方ないのに…
っていう気持ちより、
会ってあなたに今度こそ本当に『さよなら』を告げられるのがこわくてこわくて、仕方ないんだよね。
白黒はっきりしてしまうのが、
きっとこわくてたまらないんだよね。