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アンダンテ
恋愛リレー小説 - 年下

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アンダンテ 4

家に帰ると母さんに呼び止められた。
「どこにいっていたの?」
時計を見ると家を出てから一時間以上経っていた。
あぁ…また心配させてしまった

「近くの川原だよ。」
「そう…。でもあんまり長い時間帰ってこないから…」
「ごめん。」

母さんと話しながらもさっきの暗い気持ちがよみがえってきてイライラとさせる。
疲れたから休むと言い、部屋へ戻った。



次の日から僕は外出をしなくなった。別に彼女に会いたくないからではない。…そう言い聞かせているだけかもしれないけど…。
天気があまり良くないのが一番の理由だ。

一週間くらいたったある日、急に母さんが一緒に出かけないかと言ってきた。
特に断る理由もない僕は一緒に出かけた。


「ねえ。どこへ行くの?」
「ふふっ。着いてからのお楽しみよ。」
 
母さんはたまにこういうことをする。
たぶん、僕が急に出かけなくなったからだと思う。
 
 
1時間くらい車を走らせて目的地に着いたようだ。
 
―あぁ懐かしいな…。
 
そこは幼い頃に何度か来たことがあった公園だった。
僕が落ち込んだりすると、母さんがつれて来てくれた場所だった。
シートを広げ母さんが座り僕を呼ぶ。

昔は僕も隣へ行き、そのまま母さんの膝に頭を乗せてたっけ…。
「あら?お膝には来てくれないのかしら?」
「えっ…恥ずかしいからいいよ…。」
くすくすと笑う母さんを見てると、自然と顔がゆるんだ。
僕はシートに寝転び、空を見た。
少し日差しが眩しくて、手で目を覆った。
 
 
しばらくすると母さんがぽつりと話しだした。
 
「昔ね、お母さんには、すごく好きな人がいたの。小さい頃によく遊んでもらっていたお兄さんだったのだけど…」
そう言って話す横顔がまるで少女のようだった。
「お母さんとは10も離れてたんだけど、お母さんは初めて会った時からもう恋に落ちていたの。」
 
 
―私も昔はあまり体が丈夫じゃなくてずっと部屋で一人でいたのよ。そんなときに、突然お祖父様のお友達の方が息子さんを連れて訪ねてきたの。
『雛子。お父様のお友達とその息子さんよ。ご挨拶なさい。』


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