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喧嘩友達
恋愛リレー小説 - 初恋

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喧嘩友達 6

他に話題のない二人を沈黙が包む。
居たたまれなくなったのあは廊下の窓に目をやる。
繁華街や住宅街から少し離れた所にのあ達の通う学校はあったので、窓から見えるのは所々に立つ街頭に照らされる通学路だけだった。
「おい、もう歩けるか?」
紫音の声に導かれるように視線を前に戻すと、のあ達はいつの間にか階段の前にいた。
「あ、ご、ごめんっ」
のあは慌てて紫音の背から下りる。
のあが背中から降りたとたん、紫音はいつもの調子で
「あ〜重かった。お前重すぎだよ、もっと痩せろよなデブ!押しつぶされて死ぬかと思った」
などと言いながら、わざとらしく手を上に向け体を伸ばしている。
「なによ、私が重いんじゃなくて、あんたがひ弱なだけでしょ!」
のあも条件反射で即座に言い返し、紫音もまたそれに応じて言い返す。
・・・さっきまでの二人はもうなく、いつもの二人に戻っていた。

(・・・・一瞬だけいつもと違うかも・・・って思ったけど間違いね!やっぱり紫音は紫音だわ!)
のあは一瞬でも紫音を気にかけた事を恥じ、それを打ち消す様に紫音に突っかかる

「大体なによ、最初はこんなんで重いとかゆうなって言っといて!あ〜やだやだ紫音のくせに格好付けちゃって」
それを聞くと紫音は居心地が悪そうに
「あ〜・・・・あれはお前がガラにもなく泣いたりするから、一応気ぃ使ってやったんだよっ」
のあもいつもの調子を取り戻してどんどん二人は売り言葉を買い続けた
「本当っお前可愛くないよな?馬路で女な訳?」最後に放った紫音の言葉にのあらカチンときた
「はいはい。あんたなんか相手してらんないわ…ばいば…」
そう言って家の方向に向き直した途端のあは黙り込んだ…

小刻みに震えてさえいる
そうのあ達の住む町は相当な田舎だ
街灯なんてあまり無ければ木に囲まれた森の様な道を歩かなければならないのだ…

そんな暗闇を一人で耐えられない…
のあはゾッとしたのと同時に先ほど緩くなった涙腺から落ちた雫を指ですくった…

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