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喧嘩友達
恋愛リレー小説 - 初恋

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喧嘩友達 3

いつもならば睨み返してやっている所だが、今は状況が違う。
こんな暗闇の中に一人きりで居るよりは、誰かが居た方がずっとマシだ。
例え、それがいつも喧嘩している相手でも。

「なんだ、紫音か・・・・・」

ホッと胸をなで下ろすのあを見て、紫音は邪かしげな顔をする。

「・・・んだよ、今日はいつもみたいに睨み返してこねーのかよ。・・・まさか、お前・・・暗い所苦手なのか?」
「う、煩い!誰にだって苦手な物くらいーーー」


ーーガサッ


からかう様な紫音の言い方に、のあはカッとなりかけるが、窓際から聞こえてきた不審な物音のせいで、動きが止まる。

「第一、お前こんな時間まで何やってーー」

ーバサバサァッ!


「きゃあああッ!!」
「うわぁぁ!何だA!」
のあは思わずその場に蹲った。
紫音ものあの悲鳴につられて微かに後ずさる。
二人が息を潜める中現れたのはーー


……カァーカァー


夕暮れの教室に、烏の間抜けな鳴き声が響いた。
その声を聞いて、紫音は安堵したような表情を浮かべる。
「んだよ只の烏じゃねぇか……」
「び、びっくりしたぁ……」
のあもホッとしたような笑みを浮かべた。
だが、そんなのあを紫音は睨みつける。
「たかが烏にあんな悲鳴上げるな!ビビるだろうが!」
「そんな事言ったって……いきなり変な物音がしたら、普通驚くわよっ」
涙目になりながらのあは反論した。
「あー。お前のせいで無駄な時間過ごしちまったじゃねぇか……。じゃ、俺はこれで……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
そそくさと帰ろうとした紫音を、のあは慌てて止める。
「……んだよ?俺はさっさと帰りてぇんだ、用があるならさっさとーー」
「こ、腰……」
「……は?」


「腰が……抜けちゃって……」



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