〜再会〜 61
「え…」
驚いて目を見開く薊の言葉を最後まで聞かずに、恋歌はその場から逃げ出した。
(どうしよう。こんな勢いで言うつもりなかったのに…)
立ち止まって涙を拭っていると、いきなり後ろから抱きすくめられた。
「待てよっ。逃げんな…」
急いで追ってきたのだろう。薊の息がきれていた。
「嫌…薊離してっ」
混乱した恋歌は薊の腕から逃れようともがいた。
「離さない…」
薊が抱きしめる腕に一層力をこめた。
「さっきの…聞き間違いじゃないよな?」
そう耳元で訪ねる、薊の声が震えている気がした。
「あ…あの…私っ…」
薊に後ろから強く抱きしめられながら耳元で囁かれて、うまく呂律がまわらない。
「今更間違いとか言ってもおせーからな。」
そう言って背後にいた薊が離れた瞬間…強引に腕を引っ張られて、気づいた時にはキスされていた。
「ん…っ」
恋歌は意識が朦朧とする中、ただ唇に触れる柔らかい感触を感じていた。
「…ぷはっ」
息苦しくなって唇を離すと、薊の熱っぽい目に捕らわれて体が一気に火照る。
薊はそのままついばむような優しいキスを、何度も何度も繰り返した。