PiPi's World 投稿小説

〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 50
 52
の最後へ

〜再会〜 52

声の主は、亜莉朱だった。
『すぐに帰って来るっていったもん!!今日はありすの誕生日だから、ごちそうだねって!だから良い子にして待ってなさいって!!』
先程とは打って変わり、勢い良く発された言葉と同時に亜莉朱は手首をつかまれたままキッと薊を睨みあげる。その頬は涙で濡れていた。
しかし睨まれた薊の方は少しも表情を変えずに眉間にしわを寄せたまま、ただ真っ直ぐ亜莉朱の目を見返していた。
『…っ』
薊の強いまなざしに亜莉朱のかたくなな心は揺れ動く。
…ギュッと唇をかむと亜莉朱はまたポツリポツリとはなし始める。今度はゆっくり、先ほどよりはいくらか落ち着いた様子で。
しかし紡ぎ出されたのは思いも寄らぬ言葉だった。


『…ありすのせいなの‥』


『今日がありすの誕生日だったから‥だから…ありすのせいなの‥。ありすがいたから…っありすさえいなかったらパパとママは…』
ごめんなさい、と呟くとその先は涙と嗚咽で言葉にならなかった。
「そんな亜莉朱を俺は放っておけなかったんだ。」
だから俺は…
「ずっと側にいてやる」
って言ったんだ。
ありすは涙を流しながら頷いた。
恋歌は涙を流しながら聞いていた。
『そんなことが…』

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す