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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 6

「えっ……。」
 びっくりした恋歌の口が、ぽかりと開いたまま閉じなかった。
 今、一体何が…?考える暇は全くなかった。
キスしてた。
それまでの過程は分からないけど……。
「何で…?薊。」
 ぽそりと問い掛け、首を振る。
「別に…。薊があの子と仲良くしようが、あたしには関係ないもん。」
 淋しそうに瞳を落とし、二人から視線を外した。
 恋歌は、重い足取りで教室へと向った。教室の前まで来ると、出入り口の前で既に戻ってきていた薊が、クラスの女の子に囲まれて、携帯のメルアドを教えてくれとせがまれていた。再び湧き上がってくる、熱い思いを必死で封印しながら、その群れを無視して通り過ぎようとした。
 その時、恋歌に向けて、思いも寄らない言葉が降ってきた。
「恋歌。お前に覗きの趣味があったとは、知らなかったよ。人の趣味に口出しをする気はないけど、俺の恋路は邪魔しないでくれよな」
「!!」
『やっぱりあの時、目が合ったと思ったのは、気のせいじゃなかった…』

見ていたのがバレタ…。急に顔が熱くなっていくのが、感じた。
「あんたが、こっちに恋人残していたとは思わなかったけどね!!」
ついつい強い口調になる…。もっと優しい言い方したいのに…。
 口走った後で、がっくりと肩を落とす恋歌を後目に、薊はくくっ。と笑みを零す。
「まぁ、彼女でもなんでもないけどね。」
 衝撃的な一言が、薊の口から飛び出した。
 『彼女でもなんでもない?!』
彼女でもない女とキスをする…そんな薊の『軽い』一面に今更ながら、改めて気付かされ、尚のこと腹が立つ。
 握った拳をワナワナと震わす恋歌を覗き込んだ薊が再び衝撃の一言を言い放った。
「もしかして恋歌。嫉妬してるとか?」
 
『…っ』図星で何も言えない恋歌を見て薊は見世物でも見ているかの様に笑った。
『恋歌…』『な、何!』帰ろうと後ろを振り向いた恋歌が再び薊を見直す。薊は隙を与えず恋歌の肩を掴んでキスした。
『っ!!』恋歌がそのまま立ち尽くしていると薊は無言のまま歩いて行ってしまった。

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