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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 5

 このまま凝視していると、何か見てはいけない事が始まってしまうのではないかと思うくらいの熱い眼差しで薊を見上げ、その肩にぶら下るようにして腕をまわしているその少女は、肌の色の白さと、毛先がクルリとカールした、嫌味のない栗色の髪の毛が印象的な、『フランス人形のようだ』という言葉がぴったりの清楚で綺麗な少女だった。

「離れろってば。」
 薊が少し虚ろな目でその少女を見た。
「…ごめんなさい。」
 しゅん…っと項垂れた少女は、次の瞬間にこり。と満面の笑みを見せた。
「お帰りなさい。」
 彼女と…薊の関係がいやでも頭に引っかかる恋歌。それでも目が離せなくて離せなくて…。
「はいはい。ただいま。」
 適当な返事を返す薊だけど…いつもと…恋歌に対する喋り方とはずいぶん違っていた。
冷たい風に乗って、きらきらと光る薊の微笑みが、恋歌の佇む小さな窓辺に流れてくる。
『なによ…アイツ、あんな風に可愛く笑えるんじゃない…』
そう心の中で呟いて、少し頬を膨らました恋歌は、ハッと我に返った。
そう…そこには、沸々と沸き起こる嫉妬に震える拳を握る自分の姿が映っていた。

あ……あたし。
我に返った恋歌を、ジッと見つめる自分。
「何、やってるんだろう…。」
 ぼそり。 一人で呟いてみる。
周りから見たら、ただの嫉妬。それいわゆる……恋歌は薊に恋心抱いてる。
「そんなの。嘘嘘嘘。」
 何度も頭を振って、その考えをけした。
 その時、恋歌は眼下の薊がこちらを見上げた様な気がして、咄嗟に身を屈めて蹲った。
 『い、今、薊と目が合った…どうしよう…』そう思うと心臓の鼓動が高鳴り、頭から足の先まで緊張感が駆け抜けた。
 ゆっくりと身体を起こし、窓の外を覗き込む…
 しかし、薊の視線は、恋歌のいる窓辺ではなく、目の前の可愛い少女に注がれていた。
 『気のせいだったのかな?』そう思い、ホッと安堵したのもつかの間、恋歌は、殺傷能力抜群のナイフで一突きされたような衝撃を心臓に受けて、その場に立ち尽くした。
 恋歌の目に飛び込んだのは、目の前の小さな少女の身体をすくい上げるように抱き締めて、その唇に唇を重ねる薊の姿だった。

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