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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 49

「亜莉朱の両親の事で連絡を受けた俺達家族はすぐにフランスへ飛んだ。2人は一緒に車に乗っている時に交通事故で亡くなったと聞いて、一人娘の亜莉朱の事が気掛かりだったからだ。」
 薊は、一呼吸おいた。
何かを決心したように、キュッと唇を一瞬噛み締め…そしてゆっくりと口を開いた。
 少し低い声が…震えたようにも感じた。
「見るに見れない状態だった。」
 …それは亜莉朱が?それとも、亡くなった両親が?
今までにも幾つか疑問は浮かび上がったが、恋歌はそれを薊に告げる事は出来なかった。
 遮ってはいけない気がしたのだ。
折角、意を決して話してくれた薊の言葉を掻き消してはいけない気がしたのだ。
「両親が亡くなって…亜莉朱は泣く事も、叫ぶ事も…何も出来ない状態だった。
 放心状態っていうのか?俺たちが駆けつけても反応すらしない。
 ずっと、ずっと両親の遺体が置かれた部屋の前で座ったたんだ。…その姿、見てるこっちが泣けてくる程…痛々しいもので…。」
 薊の肩が、その頃を思い出して…情景を思い浮かべて震えているのが分かった。
 恋歌はそっと薊の手を握り、
「それで、どうしたの?」
 薊に先を促した。 
「……」
薊は恋歌の手をきゅっと握り返すと心を落ち着かせる様に一つ、息を吐いた。そして恋歌を見つめて静かに頷くと、もう一度話し始めた。
その手はもう、震えてはいなかった。
「…その後の葬儀の時も、出棺の時でさえ亜莉朱は何も反応しなかった。…不気味なくらいに‥。まるで何も見えてはいない様で、座らせれば座りっ放し、立たせれば立ちっ放し‥まさに心の無い人形の様だった」
そして薊はふっと視線を上にあげた。その視線はどこか遠い、ここでは無いどこかを見つめていた。
そして恋歌もまた、目をつぶり両親の死を知り呆然と立ち尽くす少女の姿を思い浮かべてみる。…どうしようもなく、胸が苦しくなるのを感じた。
「そんな状態の亜莉朱を気遣って、俺の親父やお袋は俺と兄貴と3人で埋葬の間は外で遊んでいる様に言った。だけどその頃の俺らはさっきも言った通り数年に一度会うか会わないかくらいの仲で、正直俺は何をすれば良いのか戸惑っていた」

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