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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 48

「あ・・・あぁ。実はさ」
急に薊の顔が一段と険しくなるのを見て、恋歌の心に不安が過る。
一つ深呼吸をして、薊は静かに全てを話し始めた。
─…
「亜莉朱は、フランスと日本のハーフなんだ。父親がフランス人で母親が日本‥その人が俺らの親父の妹で俺らの伯母にあたる人だ。」

「フランスと日本の‥」
恋歌は自分が亜莉朱を初めて見た時、まるでフランス人形の様だと思った事を思い出した。フランスとのハーフだとしたらそれも納得出来る。
薊が亜莉朱の我儘を聞き入れ、突き放せないのは自分の従兄妹相手だからだろう。
だけど、亜莉朱の薊へのあの異様な執着心は一体何なんだろうか。
『何処が劣ってるの』とあの強い光で恋歌を睨みつけた…あの彼女は、明らかに薊に恋愛感情を持つ『女』の目だった。
「あいつは俺に『好き』だって何度も言ってたけど兄として慕ってくれてるんだって思ってた…」
 薊は言葉を閉ざす。
キュッと唇を噛み締め、そしてようやく口を開いた。
「否、そう思いたかっただけなのかもしれない。」
そんな表情の薊を見るのは初めての事で、その表情から薊にとって自分の知らない数年の大きさを恋歌は改めてひしひしと感じていた。
「俺と亜莉朱のがあんなに親しくなったのは8年前‥」
8年前…それは恋歌と薊達が離れ離れになった頃だった。
「亜莉朱の両親が‥亡くなってからだ」
「…っ」
両親の死去。
その事実に恋歌は言葉を失った。
亜莉朱にそんなに重い過去があったなんて思いもしなかった。むしろ亜莉朱のふるまいにはそんな過去があったなんて微塵も感じさせない様な何かがあった。絶対の自信と信頼になる様な強い何かが。
─それが、薊だった。

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