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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 47

薊にそうされると柔らかな、あの香水の匂いがした。
愛しい人に抱き締められて嬉しくない訳がない。恋歌だって例外では無かった。いっその事ずっとこのまま抱き締めていてもらいたかった。
だけど、それと同時に今はまだ駄目だと思った。
きちんとけじめはつけなければ。彼女の気持ちも、痛い程に分かるから。

「…亜莉朱さんの事‥教えて?」
ゆっくりと顔を上げ、真っ直ぐに薊の目を見て恋歌は言った。
そこにもう迷いは無かった。
「……わかった」
恋歌の不自然な程静かな空気に薊は一瞬息を飲んだが、すぐに全てを悟って恋歌から体を離した。
そして薊自身も改めて覚悟を決めた。
この話をどう受け取るかは恋歌次第。
薊は全て恋歌の判断にまかせようと決めた。何よりも、恋歌の気持ちを大切にしたかった。
その後、二人の間にはしばらく沈黙が流れた。
しかしそれは1分間だったのか、はたまた1時間だったのか。長くて短い、そんな気持ち良くさえもある沈黙だった。
そんな長い長い沈黙のあと、薊はついに口を開いた。


「…俺と亜莉朱は‥従兄妹なんだ」
「従兄妹‥?!」

思いも寄らぬ薊の告白につい恋歌は聞き返してしまう。その言葉に、薊は黙って頷いた。
「知らなかった‥」
そんな驚きのあまりただ呆然とする恋歌に、薊は
「まぁ従兄妹っていっても全然面識なくてさ。何年かに1回会うか会わないかくらい。だからお前が知らなくても無理ないよ」
と続けて言った。
「え?でも、今はあんなに‥」
そう。
面識が無いにしては薊と亜莉朱はあまりにも親し過ぎる。しかも亜莉朱に関しては自分は薊の彼女だと言い張っているのだ。恋歌はつじつまの合わない話に首をかしげた。

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