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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 45

「…信じられないのは‥当たり前か‥」

【え…】
予想外の薊の言葉に身構えていた恋歌の緊張が一気に解ける。
「自業自得ってやつだな。今まで好き勝手して来たし。お前に対してもわざと嫌がる様な事して…我ながらほんとガキ」
恋歌が顔を上げた時、そこにはそう言って自嘲気味に笑う薊がいた。
「薊…」
恋歌の呼び掛けに答えるかの様に薊は恋歌を見つめ返す。
二人の視線がかち合い、二人は見つめ合いながらその場にまたしばらく沈黙が続いた。
「…お前ほんとはもう分かってるんだろ?」

‥─ドクンッ!

唐突に切り出された薊の言葉に恋歌の心臓は跳ね上がった。
「え…」
恋歌は自分でも声が震えている事が分かった。

ドクンッドクンッ…

胸の鼓動はどんどん早くなってゆく。
「恋歌お前…」

ドクンッドクンッ…

「俺が小さい頃からお前だけが好きだったって事、本当はもうとっくに気付いてたんだろ?」
ドクンッ…!

─…正直‥そうなのかも知れない‥と恋歌は思っていた。
簓の言っていた事。
亜莉朱の言っていた事。
そして何より薊の一つ一つの言葉。
真っ直ぐで真剣なまなざし。
どれを取ってもとても嘘やからかいとは思えなかった。
薊がこの町に戻って来たあの日からの出来事すべてを。

いや、本当はもっと前から‥幼い頃、薊の高野の話をしていた時に見せたあの"痛そう"な目を初めて見た日からそう感じていたのに目を背けていただけなのかもしれない。

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