〜再会〜 44
「わからないわよ、一体私のどこがあの子に劣っているのよ?!」
本人を目の前に可愛い顔して痛い所をついてくる。
亜莉朱の言葉に少しばかり胸が痛む恋歌。
「何処がじゃねぇよ。お前じゃ駄目だ、ただそれだけだ」
薊の言葉に亜莉朱は固まった。
「そんな理由で納得いくわけないじゃない!私、私は絶対許さないわ」
そう言うと亜莉朱の怒りの矛先は、薊の後ろに居る恋歌に向けられる。
亜莉朱の大きな瞳に睨まれ、恋歌の肩が一瞬ビクッと震えた。
「…アタシは諦めないから」
亜莉朱は恋歌を見据えてはっきりとこう言うと踵を返し走りさって行った。
残された二人になんとも言えない気まずい沈黙が流れる。
その沈黙を最初に破ったのは恋歌だった。
「あ‥亜莉朱さん‥いいの??」
「あ?」
不意打ちで話しかけられ薊は後ろに居る恋歌の方に向き直る。
「追いかけなくちゃ‥ホラ、変な誤解してるみたいだし…誤解、解かなきゃ‥」
「誤解?」
「えと‥その‥」
急に言葉に詰まる恋歌が何を言わんとしているのか薊には掴めずに居た。
「おい、お前なにが…」
そこまで言って不自然な所で薊の言葉は止まり、薊がハッと息を飲む音が俯く恋歌にも聞こえた。
「お前…俺がお前を好きだと言った事‥まだ疑ってんのか?」
薊のその一言にビクッと恋歌の肩が揺れた。
「………」
俯いたまま何も言わない恋歌に薊はふぅっと一度息を吐き改めて恋歌に向き直る。
明らかに苛立ちを洗わすその気配は顔を上げなくても恋歌には痛い程感じられていた。
【…っ怒鳴られるっ】
そう恋歌が身構えた時、薊は予想外の言葉をポツリとこぼした。