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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 43

そう言うと亜莉朱はぎゅうっと薊に抱き付いた。もうどこにも行かせないとでも言う様に。
「亜莉朱…」
薊はそんな亜莉朱を抱き締め返すでも無く静かに見下ろしていた。
「…抱き締めてよ‥っ」
「……」
顔を上げないまま訴える亜莉朱だったが、薊は何も言わずただずっと亜莉朱の頭を撫で続けていた。まるで小さな子供をあやすかの様に。
「…あの子のせいね‥?」
「‥え?」
ポツリと言う亜莉朱に薊が頭を撫でる手を止めると亜莉朱は急に顔を上げ
「あたし絶対に嫌だから!あの子には絶対に渡さない!!」
とその口調とは裏腹に薄く涙をためた目で薊を睨みあげると薊から体を離してもと来た方へと走り去って行った。
亜莉朱の唐突な行動に薊は驚きを隠せなかった。
(「あの子」って誰だよ?…!まさか恋歌!!?)
薊は急いで亜莉朱を追いかけた。薊の中で何かが変わった。

薊が追いかけて行くと案の定、亜莉朱が恋歌に詰め寄って居る所だった。
「恋歌っ!!!大丈夫か!?」

思わず薊は走ると、恋歌をかばう様に亜莉朱の前に立ちはだかる。

「薊…。」

亜莉朱は突然現れた薊に驚いて目を見開く。
「なんで!?
なんでその子なんかをかばうの!?」

そう言う亜莉朱に薊は恋歌を守るように一歩踏み出した。
「何でって、俺は前にも言ったはずだ。お前じゃ、駄目だって…」
そう亜莉朱を見る薊の表情は冷たく、鋭い眼差しに変わる。
「薊…」
薊の背中を見つめながら、恋歌はあの日の事を思い出していた。
薊が亜莉朱の髪を引っ張り亜莉朱を泣かせていた日の事を…。
「で、でも…その人は薊の事なんか…」
「しつけぇなぁ、んな事はわかってんだよ。前にも言っただろ」
亜莉朱の大きな瞳からは、既にいくつもの雫がその白い頬を濡らしていた。

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