PiPi's World 投稿小説

〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 39
 41
の最後へ

〜再会〜 41


「お前の好きな奴ってのはアイツか?」
「へぇ?!」
薊の口から思いもよらぬ言葉が吐き出されて恋歌は驚きのあまり変な声を上げてしまう。
「だから…お前が好きなのは今の奴なのかよ!」
「えっ?そんな…別に高野君はそんなんじゃ…」

突然変なことを薊に問いただされて困惑する恋歌。

「アイツ高野っていうのか…」

何やら考え込む薊。

「ちょっ、薊…?」

そんな様子を不思議に思った恋歌は薊の顔を覗き込んだ。
「…っあいつはやめとけ!!」
覗きこんだ恋歌の肩をガシッと掴むと薊はいきなりそう言った。
「へっ??」
いつもとは違う焦りも感じられる薊の態度に恋歌はすっとんきょうな声を出してしまう。
「あいつ‥っ表ではいい人面してるけど腹ん中は性悪で何人もの女をたぶらかすのにもにも抵抗を感じない様な冷酷な奴なんだっ!」
高野の顔を思い出しているのであろうか、薊はかいがいしく恋歌の物拾ったりしやがって‥と恋歌の顔から目線を外し憎しみのこもった顔で毒づいた。
もちろん先程初めて高野を見、名前を知った薊がそんな事を知っている訳も無くあくまで全て薊のイメージである。
…まぁ多少彼自身の感情も盛り込まれている事は否定しない。
そしてもちろんそんな話を高野と面識のある恋歌が簡単に信じる訳も無く。
「えぇ?!高野君が??…てゆーか薊、高野君の名前今知ったんでしょ‥?なんで名前も知らなかった人の事をそんなに知ってるのよ?」
と返されてしまったのだった。
そしてその問いに薊はと言うと一瞬ギクッと体をこわ張らせ
「…あのテの顔の奴はだいたいそーなんだよっ!!」
と無理やり言い張るしかなかった。

「顔って…。」
そんな薊の答えに恋歌は大きく溜め息をつくと
「薊、見た目だけでその人の事判断するのやめた方がいいよ?それによくも知らないのに根拠の無い事言うなんて‥かわいそうだよ。」
と言った。
「それに高野君には…」
続けてそう言いかけた恋歌は薊の表情にはっと口をづぐむ。
「…そーかよ!!恋歌はあいつをかばうんだな?!」
それはそう言って恋歌を追い越し走り去った薊の表情があまりにも切ないものだったからだ。
「…っ」
恋歌は固まったまま動けなかった。

『高野君をかばおうなんてそんなつもりは無かった。むしろ……』
そう、むしろ恋歌の頭の中には幼い頃の薊の姿が浮かび上がっていた。
薊達兄弟はその日本人離れした端正な顔やセピア色の髪のせいで幼い頃はずいぶん特別視されたものだった。簓の方は生まれつきの人懐こさで、すぐに周りに溶け込んでいけた様だが薊はそうは行かなかった。

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す