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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 40


「あー、マジ…やってられっかつーの…」
なんでこんなに気にしてんだぁ? 俺……。
なんてぶつぶつ言いながら右の拳を壁に打ち付けた。「ってぇー…チッ!」
ひんやりとした固い壁のあまりの痛さに舌打ちしながら眉間に皺を寄せる。
昨夜、兄に一発くらわせた時のダメージが未だ消えないうちの再ダメージ。
痛くない訳がなかった。
――放課後‥
「葵さん!」恋歌は学校の玄関で誰かに呼ばれた。
「これ、落ちたよ。」
そう言って男の子から差し出されたものはポーチ。それを見て恋歌は慌てる。
「あっ!ありがとう!」
なぜ慌てたかと言うと中身が整理用品だったから…中身が見えるわけではないが、男の子に整理用品を拾ってもらったと思うと恥ずかしい。『やだ〜何で落ちたの!?恥ずかしいよ〜顔赤いかも』急いでポーチを鞄にしまいその場から立ち去ろうとすると
「大丈夫?顔赤いよ。もしかして熱あるんじゃない?」…つっこまれてしまった。「だっ大丈夫だよ☆拾ってくれてありがとう!じゃあね高野くん!」恋歌はそそくさと玄関をあとにする。


そんな所をタイミングよく薊が通りかかった。
『あれ?恋歌じゃねーか…なんだアイツ、あんな顔真っ赤にして熱でも…』


―次の瞬間…
恋歌を見つめて立ち尽くしている男子の姿が薊の視界に入る。
こんな状況をすぐに薊の頭は理解してしまった。
「マジ?…かよ…」
顔を真っ赤にして玄関から走り去る恋歌、その姿を見つめる男子…。
薊の中で何かが沸々と煮えたぎる。
ギュッと握りしめる拳がふるふると力強く震えていた。
昨夜、兄を殴った痛みと先程、壁を殴りつけた痛みもすっかり忘れ沸き上がる思いが爆発しそうになる。

その頃恋歌は‥
『高野くんと話したの久しぶりだなぁ。隣のクラスだから顔はよく見るけど…
 あぁっ!今日薊と全然喋ってない!昨日がんばるって決めたのにー(>_<)お昼休みは様子おかしかったし…どうしたんだろ?』
薊の心境など知らず呑気な恋歌であった。

「あぁー‥私、ダメダメだな…」
と、小さく呟くと歩きながら空を見上げる。
ゆっくり流れる白い雲と澄み渡る青い空を眺めていると、恋歌はなんだか自分の悩みがちっぽけに思えてきた。


ふぅー‥。
一つ息を吐き出すと視線を戻す。
すると背後から誰かが駆けてくる足音が聞こえてきた。
その足音は恋歌のすぐ後ろでピタッと止まると、恋歌の肩がガシッと思い切り掴まれる。
驚いて振り向く恋歌の視界には息を荒げて肩を上下に揺らす薊の姿があった。

「薊…どーしたの?」

小首を傾げて見上げる恋歌に薊は眉をしかめる。

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