PiPi's World 投稿小説

〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 37
 39
の最後へ

〜再会〜 39

「〜っあーもぅいいやっ!!薊が訳分かんないのなんて今に始まった事じゃないし!うだうだ考えるのはヤメヤメっ!!今日は薊に謝れただけでも進歩じゃない!えらいぞ恋歌!!」
縁側に座った状態まま背中を後ろに倒して、恋歌は自分の考えを打ち消す様に大きな声をだす。ネガティブですぐに泣いて居たあの頃とはえらい違いである。
あの頃といってもわずか数時間前だが数時間でこれだけ考え方が変わったのは簓のおかげかもしれない、と恋歌は思っていた。
簓が電話をくれたおかげで薊に謝る事が出来た。それに簓に薊への気持ちを伝えた事によって恋歌もまた自分の薊に対する気持ちを再確認する事が出来たからだ。
‥こんな自分を好きだと言ってくれた人。人を好きになる事は素晴らしい事だと教えてくれた人。
「兄ちゃんの気持ち無駄にしないためにも‥」
恋歌は寝転んだままそう呟くとバッと立ち上がり
「頑張るぞーーっ!!!」
と満天の星空に向かって決意を叫んだ。ちなみにこの後母に近所迷惑だとこっぴどく怒られた事は言うまでも無い。



―翌日…

今はお昼休み…。
今日は珍しくお弁当を持って来なかった恋歌は、売店でパンと飲み物を買うと教室に戻る所だった。
廊下を歩いている途中、見慣れた人物を発見する。

―ドキドキ…
高鳴る胸の鼓動…。
その人物は隣りのクラスを覗いてみたり、物影に隠れてみたりを繰り返しながら行ったり来たりしていた。
『恋歌の好きな奴ってのはどいつだ…。あいつか?それとも…こいつか?』

なんてブツブツ呟きながら不審な行動をとる薊。
そんな薊を不思議に思った恋歌は、高鳴る胸を押さえながらそーっと薊に近付いてみた。

「薊!何してるの?」

恋歌がポンッと肩を叩くとビクッととても驚いた様子で振り返る薊。
「うわっ、何だよ!」
「何そんなに驚いてるの?」
「べ…別に驚いてなんか…」

見るからに慌てた様子で目が宙を泳いでいる薊に恋歌は疑いの目を向けた。
「怪しい…」
「何がだよ!」
そう言うと薊は踵を返してスタスタと去って行く。
「ちょ…薊…」
恋歌が声をかける間もなく、薊は廊下の角を曲がって行ってしまった。

『一体…何してたんだろう薊…』

恋歌は薊の行動が理解できずにその場に立ち尽くす…

…あぶねぇ‥っ危うくバレるとこだった…。こんな時ばっか声なんかかけてんじゃねぇよあのバカっ。─‥ってバカは俺か…。
廊下の角を曲がり、薊は溜め息をひとつついた。
「コソコソして俺らしくもねぇ‥」
昔から欲しい物はなんでも手に入れて来た。相手を脅してでも。まさに「俺の物は俺の物。お前の物も俺の物。」と言った具合。
薊はガシガシと頭を掻きながら思う。
…ジャイアンか俺は‥。
まぁ似た様なもんか。

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す