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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 36

「うん、今日はホントに助かったよ」
「あんなので良かったらまたいつでも言って!喜んで作らせてもらうから」
改めてぺこりと頭を下げる簓に恋歌はにっこり笑った。
「じゃあ家の前まで送るよ」
そしてそう気遣う簓の言葉に恋歌は
「うちすぐ隣りだしいいよ。」
と笑って玄関に向かう。
「ホント?気をつけてね??」
玄関まで付き添いそれでも心配げに言う簓に恋歌はフッと笑って
「ありがと。‥じゃあね“兄ちゃん”」
と言って手を振った。
───バタン。

「ふ‥“兄ちゃん”か。」
ガチャン…。
玄関の鍵を閉めてそう呟くと簓は向かう。一足先に自分の決着をつけるために。


─コンコン‥─
少し待つが返事は無い。しかし簓は構わず
「薊、入るよ」
と言って薄暗い部屋に入って行った。
「何やってんだよ電気もつけないで。恋歌ちゃん帰っちゃったぞ?」
言いながら簓が電気をつけた為一気に部屋は明るくなる。「………」
部屋の主は相変わらず黙ったまま座り込んで動かない。

そんな薊に「はぁー…」と一つ息を吐き出した簓が切り出す。
「薊…いつまで恋歌ちゃんを苦しめる気だっ!」
「……」
「いつまで自分の気持ちから逃げるんだよ…お前がそんなだから…」
「別に…逃げてなんかねぇーよ」
簓の言葉を遮り、今までピクリとも動かなかった薊が重たい口を開く…。
しかし、体は相変わらず簓に背をむけ座ったまま動こうとしない。
「だったらいい加減、恋歌ちゃんや周りの人間を振り回すのはもうやめろっ!」「っせーなぁ…俺がいつ振り回したんだよっ!」
簓の言葉にやっとブチ切れた薊が立ち上がり、勢いよく簓の襟元に掴みかかる。「お前のそーゆう気まぐれな態度がどれだけ周りを傷つけてるか、わからないのかっ!」
と、簓は薊の襟元を掴み返した。
いつもは冷静な簓も今日ばかりは違う。
「…っだよ、そーゆう兄貴はどーなんだよ?いつも善人ぶりやがって、頭ん中は恋歌の事でいっぱいだぁ?てか、笑わせんなっ!」

その時…‥

簓の頭の中で何かがブチッと切れる音がしたと同時に

―ガツッ


と、簓の右拳が薊の左頬に振り出された。
その場にドサッと倒れ込む薊を無理矢理立たせる。
「あぁー…そーだよっ!それが悪いか…自分の気持ちから逃げてフラフラしているお前なんかより、よっぽどマシだろ…」
簓がそう言い終えると同時に、今度は薊の拳が簓の左頬に入りそのまま倒れ込む簓…。
そんな簓の上に馬乗りになった薊は、簓の襟首を掴み上げ簓の上体を持ち上げた。

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