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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 31


「ぜっ…ぜぜ…全然…へっ…平気だよぉ!」
なんて明らかに平気じゃない。
恋歌はなんとか笑顔を作り簓に向けてみせるが、その口元はピクピクと引き攣っている。
「恋歌ちゃ…無理してるでしょ?」
簓は少し呆れた口調ではぁー…と溜め息を一つ吐き出した。
「そんなことっ…」
「いいよ…無理しないで?恋歌ちゃんは本当、わかりやすいんだから…」
恋歌の言葉を遮った簓は優しく恋歌に微笑みかける。そんな簓に恋歌は思わず俯いてしまう。


なんでこんなにドキドキするんだろう…。
そんな優しい笑顔…ずるいよ…。
「しょうがないよ。急にあんな事言った僕が悪い」
そう言うと簓は俯き寂しげにほほ笑む。そんな簓に恋歌は
「そんな事‥。兄ちゃんは悪くない!兄ちゃんは優しい‥優しすぎるんだよ‥だから‥」
そんな顔しないで‥。と言ったが簓はその言葉にふるふると首をふり
「僕は優しくなんか無いよ恋歌ちゃん。僕は意地悪だよ?」とまた少し笑った。
「だって僕は恋歌ちゃんの気持ちを知ってるのにそれでも2人を引き離そうとしてる。」
そう言ってまた簓は恋歌の瞳をまっすぐに見つめた。
「たとえそれが無二の弟の幸せでも。それを犠牲にしても‥それでも僕は、君が欲しい─…」
──ドクンっ
目を逸らす事ができず恋歌の胸は大きく波打つ。
そして簓は言葉を続ける─‥。
「今すぐ僕のモノになってくれるとは思ってないよ。だけどいずれ、近いうち必ず振り向かせてみせるからね。」

覚悟してて?簓はフッと笑ってそう言うと続けて
「でもだからって恋歌ちゃんは今までと変わらずで良いんだからね?僕が勝手に君を好きなんだ。君を悩ます気なんかこれっぽっちも無いし、同情で振り向いてもらおうとも思わない。僕は僕だけの力で君を振り向かせる自信があるしね」
と言った。
そのまっすぐな簓の自信に恋歌の胸はまた波打つ。
そして簓は
「だからこれからも…今まで通り《兄ちゃん》て呼んでくれると嬉しいな☆」
と言ってにっこりほほ笑んだ。
「そんな‥っ呼ぶに決まってるよ!当たり前だよっ!!」
恋歌は簓の言葉に慌てて答える。
そんな恋歌の答えに簓はホッとしたように
「そ?なら良かった。」と言うと
「でも本音は《簓》って呼んで欲しいんだけど」
なんてね☆と言ってにこっと笑って恋歌にウインクをした。
──ぷっ
そしてどちらからともなく二人は笑った。

ひとしきり笑った後簓は「さ、そろそろ夕飯作らなきゃね!僕も手伝うから。先に恋歌ちゃんは薊がもう上がるだろうからタオル持ってってやってくれる?」

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