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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 27

「…っ」
予想もしない展開とあまりに近くに簓が顔を近付けたのとで恋歌は声が出ず、ただこくこくと頷く事しか出来なかった。
「そっか‥なら良かった。」
そんな恋歌の反応に満足したのか簓はにっこり笑うと「それじゃ、またね。学校頑張って」と言いながら恋歌の頭を軽くポンとたたいて去って行った。

あまりにも急に、そしてあまりにも呆気なく簓は気持ちを告げた。
「…」
 何を先ず第一に考えればいいのか、恋歌の頭では優先順位というものが上手く整理されていなかった。
「兄ちゃんは…あたしが好きなの?」
 小さな声でポツリ、その言葉を落とす。
その瞬間、自分の顔が真っ赤に、どんどん赤く染まっていくのが分かった。
「嘘っ!?」
 自分で考えた事を、ぶんぶんともの凄い音が鳴るくらい頭を振って頭から追い出した。
 そんなはずは…でも…。
「どうしたらいいの?」
 今にも大声で泣きそうな…そんな声で恋歌は呟いた。



ふと気が付くと恋歌は河川敷に辿り着いていた。
考えごとをする時にいつも来る場所…。
「またサボっちゃった…」と小さく呟くとその場所に座り込む。
この前もここでサボったのに…またやってしまった。恋歌は罪悪感から後ろ髪を引かれる思いに苛まれる。しかし、今は学校なんかに行ってる場合じゃない。

突然のキス…

突然の簓の想いを知ってしまった今、恋歌の頭は完全に思考能力が低下していた。
考えるだけで自分の顔がボッと熱くなってしまう。
恋歌は両掌で自分の頬を覆うとはじめて自分の頬が涙で濡れているのに気づく。
「‥ん?涙‥??あたし泣いてないのに…」
気付くとそれは自分の涙ではなく、降り出した雨だった。
「わっやだ‥っ」
恋歌は慌てて立ち上がり家路を急いだ。


その後雨はとどまる事を知らず延々と降り続いていた─。


─春日谷家─
バタンッ
「ただいま。」
「‥おかえり薊。雨に濡れただろ?急に降って来たから」
突然の雨にびしょ濡れになりながら帰宅した弟にタオルを差し出す簓。
「全く‥ホント使えねー天気予報だぜ。明日から6chに変えるか?」
晴れの予報を出した今朝の天気予報に不機嫌になりながら薊はタオルを受け取りがしがしと頭を拭いた。
「あれ‥兄貴1人?おふくろは?」
やけに静かな居間に気付き薊が簓に尋ねると簓は呆れた様子で「結婚記念日だから父さんと母さんは旅行だよ。今朝の話、聞いてなかったのか?」と言った。

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