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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 25



―フワッ


ササラの掌が優しく恋歌の頭に触れる。
「恋歌ちゃん…」
もう、零れ落ちる涙を止められずに泣きじゃくる恋歌の頭をササラはずっと優しく撫でいた。

薊とは違うササラの優しさに恋歌は身を委ねてしまいたくなる…。
頼りたくなってしまう…。そんな自分を押さえながら、否定しながら崩れそうな気持ちを堪えていた…。

すると、今まで恋歌の頭を撫でていた掌がスッと離れて感触がなくなった事に気が付いた恋歌がふと見上げると、そこには切なげに恋歌を見下ろすササラの姿があった。
『…兄ちゃん‥?』
初めて見る簓の表情に恋歌は目が離せなくなっていた。そんな恋歌の視線に簓はフッと笑って目を逸らすとすぐいつもの様に優しく微笑んで『恋歌ちゃんは薊を好いてくれてるんだね‥?』と言った。
──ドクンッ
『え‥っ?』
思いも寄らぬ簓の指摘に恋歌は驚きを隠せず一瞬にして赤くなった。
そんな恋歌の素直すぎる反応に簓は一瞬目を丸くするとくつくつと笑った。そしてあぜんとする恋歌に気付き、すぐ『あっごめん、笑ったりして‥』と謝ったが『でも、フフッ恋歌ちゃん‥ホント嘘つけないよね??』とまたくつくつと笑った。
『そっ‥そんな事ないよっ!!なんで笑うのっ』そんな簓の指摘に《いつまでも子供のまま》と言われた様で少しむっとしながら慌てて否定する恋歌。
しかし簓の方はあははと笑って『いや、やっぱり恋歌ちゃんはかわいいなぁと思って』と言った。
──ドクンッ
簓が何気なく言った言葉に恋歌はまた先程とは違う感情で赤くなった。
そんな自分に【なに赤くなってんのあたし!!いくら初恋の人だからって!兄ちゃんはそういうつもりで言ったんじゃないってば!!】と言い聞かせ首をブンブンと振った。
そんな恋歌をよそに簓は話を切り出した。『ところで話は戻るけど…』
『えっなに(;οдo)??【今度はなによぉ(><;)】』
『僕が見る限り2人は付き合って無いみたいだけど‥薊も恋歌ちゃんが好きみたいなのに、どうして?』
簓のその言葉に恋歌は一瞬大きな瞳を見開き、そして伏せた。
そして『…そんな事‥ないよ‥』
と俯いたままポツリとこぼすと恋歌はそのまま続けた。
『だって薊には彼女が‥亜莉朱ちゃんがいるし‥だからあたしは諦めようと思った!‥なのに薊は亜莉朱ちゃんの前であたしの事好きって言ったり無理やりキスしたり‥』
いつの間にか薊を好きではないと否定するのも忘れ恋歌の言葉は止まらない。
そこに簓が遮るように言葉を挟む。
『それは薊が亜莉朱ちゃんより恋歌ちゃんの方が好きだってゆう事で‥』
しかし恋歌はその言葉にさらに覆いかぶさる様に
『じゃあ何で亜莉朱ちゃんにもキスしたの?!』とキッと簓を睨み上げると声を荒げた。
『…っ』
恋歌の思いも寄らぬ発言に簓は言葉に詰まってしまう。
『あの子にしたキスとあたしにしたキス…どう違うの…?』
今まで打ち明けられず胸に秘めていた気持ちと一緒に恋歌の頬にも涙が零れていた。

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