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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 23

突然な簓の登場に動揺を隠しきれない恋歌は、なんとか平常心を保とうとする。
「えっ!…先生に薊の鞄を届けるように頼まれたの」「鞄?」
「今日、薊…早退したから…」
「そーなの?ったく、薊のやつ…」
恋歌は簓と話している間も動揺を隠そうと、俯いていた。
「恋歌…ちゃん?どーかした?」
「あっ…これ、お兄ちゃんから薊に渡しておいて…」恋歌は一方的に簓に言うと、鞄を渡して「じゃあ」と逃げる様に自分の家に入って行った。


そして、恋歌は部屋に入るとベットの上で仰向けに寝転んで天井を見つめる。
鞄も机の上に放り投げ、制服のまま大の字……
こんな所とてもじゃないけど人様には見せられない。とにかく今は頭がパニックでそれどころではないのだ。
寝転びながらポケットから小瓶を取出し、天井に翳して眺める。
ブルーの液体が窓からの光りを浴びてユラユラ揺れながら輝いている。

『心の奥にしまった筈の想いがどんどん痛いくらいに膨らむばかりで…薊は本当に私のこと…』

考えれば考える程、抜かるみにはまって抜け出せなくなってしまっていた…。
恋歌の瞳からは涙が溢れてきた。恋歌自身も止めることが出来ずただ時間だけがすぎてゅく…。

どのくらぃ泣き続けたのだろぅ。未だ止まることなく溢れ続ける涙。
ふぃに涙でぼゃけた恋歌の視界に人影がうつった。恋歌は言葉を失う。
そぅ、それはまぎれもなく恋歌の愛しぃ人…薊だったから。

「…また泣ぃてんのかょ。」
びっくりした。
一瞬だけ流れる涙が止まったように感じた。
だけど、薊を見つめてたらなんだかまた涙が溢れてきて‥

そしたら薊が言った。

「…今日、荷物届けてくれてありがとな。」

なんか優しい口調‥。
その反応に、
『こくっ』
って頷くことしか出来ないあたし。

『なんか…いつもの薊じゃないみたい…』
そんな二人の視線が重なり、まるで時が止まったみたいに空気だけが二人の間を流れている。
すると、フワッと薊の掌が恋歌の頬に触れた。
一瞬、ビクッと肩を揺らした恋歌に薊は優しく頬を伝う涙を拭うと哀しい目をする。
さっきから視線を逸らせず固まっている恋歌に薊が口を開く。
「そんな顔で見んなよ…俺が恐いか?」
何も言えずに固まりっぱなしの恋歌。

―バンッ!!

薊は壁に背を預ける恋歌の顔のすぐ横を擦り抜けて壁を叩きつけた。
思わず恋歌は恐怖で目をギュッと閉じる。

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