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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 21


「薊が私のこと好きだってこと?」
亜莉朱は大きな瞳を輝かせながら恋歌に詰め寄ってくる…
「えっ?少なくても私はそう思ってるけど…」
と恋歌が言い終わる前に亜莉朱は走り去って行った…
『一体…何なのよ…』
恋歌は呟くとまた歩き出した。

そう…あんなことをした薊が悪いのよ…好きでもない私に無理矢理あんな……
それに…どーして私にこの香水を……

恋歌は小瓶をギュッと握り絞める…薊が置いて行った小瓶の香水を制服のポケットに入れていた。
想いは届かなくとも薊が傍にいる様な気になれるから離せずにいたのだった…。

そして…

学校に着くと薊の席には人の輪ができている…
いつものことだがそこを通らないと席に着けない恋歌はいつも以上に嫌な気分になってしまう…
「はぁ…」
と溜め息をつくと気を取り直して席に向かった。
そして薊の席を横切ろうとした時…今は聞きたくない声が耳に入ってきた…。
「よぉ、恋歌」

何なのよっ!いつもは声なんかかけてこないくせに…
そんな薊の声を無視して薊の後ろの席についた。
この席は薊がきてからというもの恋歌にはとても居心地の悪い場所になってしまった…
「はぁ…」
また一つ溜め息をついていた…。

「あんまり溜め息ばっかついてると歳をとるぞっ!」そんな薊の言葉にプイッと顔を横に向けた恋歌は頬杖をついた。
だが、まわりからはクスクスと笑い声が聞こえる…。
耳障りだ…やっぱり薊が私を好きだなんて嘘に決まってる……

そんな恋歌にとって授業中だけが天国だった。
静かだし、なんて言っても薊の顔を見なくてすむ…。薊の背中だけ見てればいいのだから…。

しかし、次の休み時間…

「薊…ちょっといい?」

…この可愛いらしい声は…
恋歌が声の方に顔を向けると亜莉朱が薊を連れて消えて行ってしまった…。
幾ら彼女と薊の関係を知ったからって…そしてそこに実際は第三者の筈のあたしが加わってしまっていたからって…。やっぱり、後つけるなんて…悪いことだよね?
 心の中でそう呟くものの、恋歌の足は二人の後を追いかけてしまう。
 〜あたしに関係ないわけじゃないもんね?
誰とも無しに問い掛け、自分に非がないと前もって言い訳しておく。
「アリス、俺お前のこと好きになれないって…いったよな?」
 冷静に伏し目がちな薊、あの薊があたしが知ってる中で一番怖い顔。
 『他人』を見るような目そして…何とも思われてないような…冷たい表情。
「でも、あの子は…薊が好きだっていったあの子は…薊のこと何とも思ってないのよ?」
 可愛い声で、ズキンと心が痛くなる言葉を薊に浴びせた。
「知ってるよ、んな事ぐらいもう…何年も前からな。」
 俺が…この街にいた頃から、あいつは俺を見ちゃいないんだよ。
 哀しそうに、そう付け足した。薊のあの顔…昔に一度だけ見たことがある。
「それでも…あの子がいいの?」
「あいつじゃなきゃ、駄目なんだ。」
自分に関係あることなのに…自分の知らないところでどんどんと話が進んでいく事に、極度の不安を感じた。
 恋歌は朝、ポケットに突っ込んだあの香水の入った可愛い小瓶をキュッ…っと握った。
理由は無くとも、何故かそれを握ると安心する…何とも不思議な香水だ。
「でも、私は別れない。」
 唇を小刻みにカタカタと震わせてアリスは言った。
「アリ…「私だって薊が好きなのよ?」
 強い口調、その強さが滲み出ている強い意志の持った瞳に…到底敵う気がしない、恋歌。
「アリス…。」
 困り果てたように眉間に皺を寄せて、薊はアリスのクルリとした髪の毛を引っ張った。

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