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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 19

恋歌の顔にますます顔を近付けていつもより低い声と冷たい口調で薊が口を開く……。

「俺がいつこいつの事好きだなて言った?そんな事言った覚えないぞっ!俺は人の恋路を邪魔するなと言っただけだ」
薊の鋭い眼差しが恋歌の心に突き刺さる…。

すると、亜莉朱は堪えられなくなり泣きながら走り去って行った。

「えっ?だって薊は…好きでもない子と平気でキスできるんでしょ?だからあの時…私にしたんでしょ?好きでもないのにしたから謝ったんじゃないっ!」


ワカンナイ…ワカラナイ…こんなの理解できないよ…
恋歌は勢いよく制服を薊に押しつけてくるりと踵を返すとその場から走り去った。
突き返された制服を手にただ立ち尽くす薊は『…くそっ』ガシャン!と家の門を蹴り俯く事しか出来なかった。
‥─馬鹿か俺は…?なんであんな事しちまったんだ…亜莉朱の事はともかくあいつには…好きな奴が居るってのに…俺では無い‥他の…─‥
そこまで考えて薊の胸はズキンと鳴った。
『…っくそっ!!』そしてまたさっきより強くガシャン!!と門を蹴った。
一方恋歌はというと─‥
自室のベットの上、ごろんと寝転がっていた。
…薊…なんであんな事言うの??分かんない…。あたしの事が好きなんて言葉信じられない…恋路を邪魔するなって言っただけだなんてそんなのあの子に恋してるから『恋路』な訳でしょ??それなのにあんな激しいキス‥もぅ…分らない…。
それに…
恋歌は自分の唇にそっと手を当てて呟いた。
『…あの子にしたキスとあたしにしたキス…どう違うの??』
同じ…なのかな…。

それぞれの思いを胸に、それぞれの夜は更けてゆく‥─

―カタッ―

何か窓際の方から音がして恋歌は目が覚めた。
あれからいつの間にか眠ってしまった…
カーテンも閉めずに眠ってしまったため暗闇の中で窓から月明かりが差し込んでいる所だけ青白く見える…恋歌は体を起こすとさっき音がした方へゆっくりと進んでみる…
ふと窓際に目を落とすと何かがある…。
近くでよく見ると小さな青いガラスの小瓶だった。
恋歌はそれを手に持って窓に翳すとキラキラ輝いて見える…
「綺麗……」

―その時…

この香り…薊の香水の匂いと同じ…

そこではじめて薊が置いた物だと気が付いた…

―ギュッ
恋歌は小瓶を握りしめるとカーテンが閉まった薊がいる筈の窓を見つめる…

―シャッ

しかし、薊に見られている様で自分の部屋のカーテンを閉めてそのまま俯いてしまった…
ポタッと小瓶を握りしめていた手に恋歌の瞳から零れた雫が後から後から流れ落ちてきた…

私…また泣いてる…
最近…こんなのばっかり…
恋歌は心の中でそう呟きながら力が抜けた様にその場に座り込んだ…。

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