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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 18


薊の口から吐き出された言葉に返す言葉も失いみるみるうちに耳まで紅潮させて恋歌は俯いてしまった。
そんな恋歌の様子を楽しむかの様に薊はフッと鼻で笑うと門に凭れていた背を起こし、腕を組んだままこちらに歩み寄って来る。

嫌だ…こっちに来ないでよっ!

そんな恋歌の心の叫びも虚しく先程の薊の制服から漂っていた香りが、今は恋歌のすぐ目の前に立ちこちらを覗き込んでいる薊自身から香って恋歌の鼻を擽っている…。
『な…っ‥へっ‥い‥っ?!』(なっ‥変態って‥っいつからいたの?!)
言葉にならない言葉を発しながら恋歌は後ずさった。
『なんで黙ってそんなトコにいんのよぉ!悪趣味ぃっo(><;)!!』
『わめいてんじゃねーよ。…ん?お前…』
すっと薊が恋歌の顔を覗きこむ。
『……っ!』
やだっ目赤いのバレちゃう…っ。恋歌は思わず顔を伏せる。
『…ちょっとこっち向け恋歌』『…やだっ』『……恋歌』恋歌の態度が気に食わないのか薊の声は低くなる。

『…っ誰が泣かすんだよ…っ』
──…え…??

思わず顔を上げたあたしのすぐ目の前、視界いっぱいに薊の顔が近付いて……
『んぅ…っ』
以前のそれとは違いとても乱暴に、激しく、薊は恋歌にキスをした。
『…やっ…ちょ…っあざみぃ…っ』
いくら恋歌が抵抗すればするほど薊は腕に力を込め恋歌を離さない。
その時だった──…
《バサッ!!》
恋歌の真後ろでなにか物が落ちる様な音がした。
『…亜莉朱…』
アリス─‥そう薊に呼ばれた小柄な女の子が呆然と立ち尽くしていた。…白い肌の。巻き毛の…。
そう、あの時…裏庭で薊と会っていたかわぃい女の子だった。

「なんで……」
泣きそうな声でその子はつぶやいた。


長い沈黙が続いた。あたしは、放心状態でしゃべることができずにいたし、薊も黙ったまま。女の子は瞳いっぱいに涙をためてこちらを見ている。

沈黙を破ったのは薊だった。
「ごめん。やっぱ俺…えまえのことそぉゆうふうにみれねぇ……やっぱ、俺はこいつがスキなんだよ…」
『そんな…っ』
亜莉朱は益々泣きそうな顔になった。
『…っ何言ってるの!?』
恋歌は我にかえり、薊を自分の体から突き放して言った。─意味が分からない。そんな訳ない。何でそんな嘘つくの??─
『…恋歌??』
恋歌の顔を覗き込む薊をキッとにらんで恋歌は言った。
『薊はこの子の事好きだって言ってたじゃない!それに無理やりあんなキス…ひどいよ…!!…あたしの事が好きなんて…嘘でも言わないで!!』

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