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〜再会〜
恋愛リレー小説 - 初恋

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〜再会〜 15

ひとつの足音が近付いてくる。毛布を頭からかぶった。
こんな顔薊に見せられない。
シャッ…
カーテンが開く音がする。
「恋歌…起きてる?」
!!!!私は慌てて布団に潜った。『こんな顔見られたくない…見せられない』ドサッ…薊はパイプ椅子に腰をおろした。「恋歌?大丈夫か…」私は必死で寝たふりをした。 パサッ…『えっ?!』何かが頭に落ちてきた…薊の手が優しく私の頭を撫でた。「ごめんな…」『どうして?分かんないよ…私が悪いのに…どうして優しくするのよ!首筋の傷…言葉の暴力…傷の事まだ謝れないでいる。私の事、憎いくせに…どうして…どうして』ガラガラッ バタン。薊は保健室から出て行ってしまった。『薊…!薊…』私は心の中で何度も叫んでいた。

どれくらいの間、私は眠っていたのだろう……。
私は布団の中でいつの間にか眠ってしまったらしい。
『静かだなぁ……』
泣いたせいと寝起きというのも手伝って頭がボーッとしている……。
保健室は恋歌一人だけだった。

『今日はやっぱり休んだ方がよかったな……』

恋歌は自分の最悪なコンディションと最悪なシュチュエーションに耐え切れず…やはり早退することにした……。


教育のドアを開けるとちょうど授業が終わって昼休みになった所だった。
恋歌の姿を見つけた親友の友香がかけよる。
「恋歌大丈夫?今様子見に行こうと思ってたんだけど、スゴイ顔色悪いよ。」
友香に心配かけないように恋歌は笑って見せる。
「ありがとう。…ヤッパリ今日は帰るね。」
「うん、そうした方がいいかも。」
荷物を取りに自分の席に向かう恋歌。
本当は今、薊の近くにいきたくなかった…。もう、近くにいく事さえ苦しかった。

 大丈夫だ。 と思ってたんだ、本当に。
薊にあっても、この気持ちに気づく前と何の変わりもなく接す事が出来るって信じてた。
 でも…ムリなんだね、こんな事。
恋愛感情が入ると友情が壊れるように、あたしと、薊の間にも…傷は深く…溝は深く。

 帰り道、小さな石を転がしながら歩く。
そろそろ肌寒くなって来て季節は真冬へと流れるだろう。
 涼しい風が吹き付ける中、半袖の制服に身を包み震えながらも恋歌は歩く。
 バサッ。
「お前、そんな格好じゃまた風邪ぶり返すぞ。」
 突然、上から降ってきた学生服。
「!?」
 驚いて、振り向いた。
急いで走ってきたのだろう、彼の額にはこの涼しさにはあり得ないほどの汗がにじみ出る。
珍しく肩で息を吸い、ポーカーフェイスが少し歪む。
「あ…ざみ。」
「お前、一言ぐらい言って帰れよ。心配すんだろ。」
 素っ気ない、彼の一言一言が今ではもう宝物のような気がして仕方がない。
「好き…。」
 決して、彼には届かないほどの小さな、小さな。
自分にも届かないほどの小さな、小さな声で恋歌は呟いた。
 本人目の前にして言えない…禁断の言葉。

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