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片思い
恋愛リレー小説 - 初恋

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片思い 4


「起きなさ〜い!」母さんの声が1階から聞こえ、いつものとおり目を覚ます。いつもと同じ朝、でも今日は違っていた
「女の子が迎えに来てくれてるわよ」・・・・・・・

いつもより三十分も早い起床。
いつもより手抜きの朝食を流し込み、いつもより手抜きに身嗜みを整え、いつもより手抜きな弁当を鞄に押し込む。
準備完了−−ここまでの所要時間約十分。
外で待つ城山の元へ急ぐ。

「ごめんね。急がせちゃって……」
歩き始めて少し、心から申し訳無さそうに謝る城山。
そんな彼女に文句を言えるはずも無く、
「大丈夫、いつも通りだから」
極自然に嘘をつく。
「嘘。寝癖直ってない」
その甲斐あって笑いながら髪に触れてくる。
その笑顔に昨日の様な陰が含まれていないのに少しホッとした。
 
その後は城山の言葉に相槌を打つ−−と言うよりは生返事をする形で辛うじて会話を維持しながら学校に向かった。
因みに会話の内容はと言うと−−城山には悪いけど朝弱い僕はただの少しも覚えていない。


「よう、お前が俺より早く来るなんてな−−明日は雨か?雪か?はたまた最終戦争か?」
言葉の割にさして驚いた様子も見せない御崎。
その態度から漸く少し働き始めた頭がある答えを弾き出す。
「……お前が家教えたのか?」
睡眠を摂る為、体勢を整えながら問い掛ける僕。
顔が見えなくなる分恐さ倍増−−の筈だ。
気配で奴が慌てているのが分かる。
「お、俺は別に香奈ちゃんになんか−−」
やっぱりか……
「−−誰も城山さんにとは言ってないぞ」
頭を上げてその馬鹿面を確認する。
二枚目はどんな表情も様になるらしい−−別に羨ましくも無いが。
「−−ま、何だ。寧ろ感謝して欲しいくらいだぞ、な?」
全く悪びれもしない御崎に怒る気力も失せた為、取り敢えずいつも通り不足気味の睡眠の続きを摂るべく再び机に突っ伏す。
程無く猶続く雑音を無視−−と言うより子守歌代わりにして眠りについた。
 

「はあ……また屋上かよ」
二日連続の炎天下での昼食に明らかに不満を見せる御崎。
「嫌なら別の場所で食べればいいだろ」
「しょうがないだろ?俺が毎日光輝と飯を喰いたいんだから」
僕のつれない言葉にも満面の笑みで気色の悪い答えを返してくる。
正直大分−−いや、最高に欝陶しい。
「よく言うよ−−どうせまた何か企んでるんだろ?」
そう言い捨てていつにも増して美味しい手抜き弁当を麦茶で流し込む僕。
「企むなんて人聞き悪いな−−俺はお前の恋を応援してるだけだぜ?」
はっきり言って大きなお世話だ。

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