片思い 11
現状に於いて彼女の望む事が、必ずしも僕のそれとは一致しない。
世の恋人達に倣い愛を囁き、口付け合い、身体を重ねる――自惚れかもしれないが、そうする事は難しくないと思う。
だけど、僕自身が望まなければ、きっと罪悪感と後悔が待っている。
「……傷付けたくないんだ――彼女も、自分も」
「――本当、そういうのお前らしいよな。深く考え過ぎなんだよ」
やや間があって口を開く御崎。努めて軽い調子にしているのが伝わる。
「……多分その通りなんだと思う。でも、曖昧なままなのは嫌なんだ」
「自分がどう感じてるとかなんていつもハッキリわかってるヤツなんているのか?
頭の中で感じてることなんていつも曖昧なんだよ。
だからオレはいつも自分の欲望に忠実に思ったように行動している!」
御崎はまた少し間を置いて口を開いた。
「なるほど、で気づいたら根も葉もある噂がたってるんだな」
「まあな・・・、付き合ってみないとわからない。
抱いてみないとわからない。
実際なんでも実験してみないとわからないことだらけだろ。」
「人体実験はよくないと思うぞ・・・」
その人体実験で迷惑を被るのは俺なんだと心の中でつぶやいた。