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サクラ
恋愛リレー小説 - 初恋

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サクラ 4

藤永の言葉に反論する術はなく、あたしは黙って俯くしかなかった。
でも、海里の事を好きだとこの場で告白する勇気もある筈が無く。
気付けばあたしは顔を上げて、アハハっと笑ってみせ、藤永に向って言い放っていた。

「好きじゃないよ。だって、海里はタダの友達だもん。」

嘘をついてしまった。あたしは、なんて臆病なんだろう…「そっか、俺の勘違いかな?ごめんね!変な事聞いて」
気づかないはずないのに。どうして藤永はこんなあたしに気遣ってくれるの?
…家
あたしは溜め息ばかりこぼしていた。「はぁ」
何もやる気しない。そんな時携帯が鳴った。
メール…『莉子、元気?ちょっと話したい事があってさ(^-^;)今から家に来れない?』海里からだった。びっくり……海里からメールが来ることなんてめったにないから。
こうしちゃ居られない!あたしは、服を着替えて髪の毛も綺麗にとかして、一目散に海里の家に向かった。
ピンポーン
ガチャッと戸が開き中から部屋着姿の海里が出てきた。「おう、悪いね…わざわざ」少し鼻声だった。「いいけど何よ、話って」またいつものクセが…乱暴な態度になってしまう。
「うん、とりあえず、上がって。今日は一人なんだ」
「そうなんだ。お邪魔します」誰もいないと聞いたら少しだけ緊張してきた。
しかも

―今日は一人なんだ―

ときた。
『そうなんだ』
と平然と応えたものの、あたしの心臓は、口から出てきやしないかと思うくらい激しく波打ち、動揺を隠すのに必死だった。
静まり返っている海里の家は少しひんやりしていた。「先、俺の部屋に行ってて」あたしは階段を上がり海里の部屋へ入った。
変わってない。海里の部屋はいつもきれいに片付けられている。

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