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サクラ
恋愛リレー小説 - 初恋

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サクラ 1

ーまた春が過ぎていった。暖かい日。もう少ししたら夏が来る。あたしの足元には散ってしまった桜の花びらが、みんなに踏まれてしなびて茶色になってた。「せっかく綺麗に咲いたのにね…。」
「何?独り言?」
後ろを振り向くと同じ組の藤永 大和立っていた。驚いたけど顔には出さないように「別に」と言ってその場から離れた。
ー教室
もう誰も残ってなかった。あたしは、鼻歌を歌いながら自分のカバンの中に今日出た宿題の課題を入れた。時計を見るともう約束の17時を回っていた。
あたしは急いで階段を駆け下りると上田 海里の待つグランドへと走った。広いグランドの真ん中にサッカーボールを蹴り上げる人影を見つけた。あたしは一呼吸ついてから「ごめん。遅れた。」海里は「今日は莉子のおごりなっ」と言うと目を細めクシャクシャな顔で笑った。海里とは小学校の時からずっと同じクラスで高校に入ってからも同じで腐れ縁の存在だ。
「莉子さぁ、いいかげん男つくれば?」ハンバーガーを口一杯に頬張りながら言った。
「なんでよ?」あたしは口を尖らせて海里を睨みつけた。「いや、俺の友達が莉子の事いいって言ってたからさ〜」
「興味ないよ」
あまりにもサラッと言い切ったので海里はそれ以上何も言わなかった。
…ー駅のホーム
「じゃあたし行くわ。」「おう!気を付けてな」少し経った後、振り返って海里の姿を探したけどいなかった。
電車に乗り込んで窓際のイスに座った。あたしは海里と出会ってからの事を思い出していた。
…ーあれはもう10年前にもなる。いつも笑顔でみんなの人気者。憧れてた。でも、最初は恋だって信じたくなかった。裏切られるのが怖くて…。中学2年の夏、海里に彼女が出来た。その時初めて思い知った。海里が好きだって…あたしは一人でいるのが好きだった。気が楽だから。海里の周りはいつも眩しかった。あたしの居場所はそこにはない気がした。
家に向かう道のりの途中であたしはコンビニへ寄った。いつもの日課。今日は雑誌の発売日だった。手に取るとレジに向かいお金を支払った。

「ただいま」
「お帰り、遅かったのね」母が居間から出迎えに来てくれた。「海里とご飯食べてた」あたしは母に説明すると階段を上がり自分の部屋へ行った。ベッドに腰掛けさっき買った雑誌を見た。

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