PiPi's World 投稿小説

仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 8
 10
の最後へ

仮面少年の恋 10

バカにされることを覚悟して聞いたのになんだか拍子抜け。
「バカにされたいの?」
いかしぶけに問われる。
「違うけど…こんなのも知らないの!?とか言われるかと思った」
「知らないことは罪じゃないわ」
…案外、良い人かも。僕の中で西島さんに対する好感度がすこぉーし上がる。
「…それより、渋谷君のセンスあてにならないから私が決めるね」
…………はい、急降下。
はぁ・・・なんで西島さんは僕をボロクソにけなすんだろう・・・
そんな事を考えてるうちに西島さんは服を選んでいく。
「これとこれとこれ、試着してみて。」
服を渡されると試着室に押し込まれた。
西島さんに差し出されたものは、さっき選んだ黒と紫のボーダーのタンクトップと軍パンだ。僕は更衣室で素早く身に付けた。
「どう、かな?」
「いいんじゃない?」
…うん、いいかも。
「これにするよ」
会計を済ませて、外にでると辺りはもう真っ暗だった。随分、時間が経ってしまっていたらしい。
「うわ…暗いなぁ」
「結構、時間かかったからね」
「ごめん、付き合わせる形になっちゃって…今日はありがとう」
僕が無理矢理付き合わせたわけじゃないけど、結果的には助けてもらったわけだから、一応お礼を言う。
「…渋谷君、まだ時間ある?」
「え…うん」
「じゃあ、ご飯食べに行かない?」
「いいけど…」
なんで?と聞こうとしたけど、思うように口が動かなかった。…なんだか西島さんの顔が少し寂しそうに見えたからかもしれない。

「でも…僕、お金あんまりないよ」
美容院に洋服で財布の中身は空に近い。
「仕方ないわね、奢ってあげる」
「それは…いいよ」
「なんで?」
「理由がない」
そう告げると西島さんはただでさえ大きい目を更に大きくさせた。
「渋谷君って…変わってるね」
…はい?突然、何言い出すんですかね、この人は。
「初めて…」
「…ん?」
「奢るって言って断られたの」
へぇ…としか思えないんだけど。何にそんなに驚いてるんだろう?
「じゃあ、安いとこ行こっか?」
いつの間にか驚きから立ち直った西島さんがスタスタ先を歩いている。
「ちょ、ちょっと、待ってよ」

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す