PiPi's World 投稿小説

仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

仮面少年の恋 1

「好太またいじめられたの?」
まただ・・・また同じ夢だ・・・この後かならずと言っていいほど、
「ぐすっ。何も悪いことしてないのにみんな僕の事いじめるんだ。」
そんな風に泣く僕の頭を撫でようと手をのばす。あと少しで触れる・・・
しかしいつもそこで目が覚める・・・
(だるい・・・)
体を起こし時計をみる・・・
「7時か・・・起きなきゃ・・・」
僕の名前は渋谷好太、晴れて高校生だ。親に誰にでも好かれる様にとこの名前を付けてくれたけどこの名前とはまったく違う人間になっていた。小さいときからいじめられ次第に人に心を開くのが苦手になり関わり合うのを拒否し、感情を表にだす事が無くなっていき、回りからは『仮面少年』と呼ばれている。(優梨姉元気かな・・・)
明け方に見た夢に出てきた女性を思い浮べる。
小さいとき近所に住んでいて、よく遊んでくれていじめられたとき慰めてくれた本物の姉の様な人。それが僕が初恋で最後の恋になるだろうなどと思いながら、学校へ行く支度をする、この後の運命の再会を知るよしもなく・・・
支度を終え、玄関で靴を履き家を出て、止めてある自分の自転車のカゴに鞄を入れていそいそとペダルを漕ぐ。家からもってきたMDを最大音量で聞きながら学校へ向かった。MDを最大音量で聞く理由は簡単だ。行きにすれ違う人の声を聞く必要性がないからだ。



三十分くらいで学校に付き駐輪場に自転車を置いた。そんな時後ろからポンっと肩を叩かれ振り向くとそこに居た女性に驚いた。
「優梨姉・・・」
「やっぱり好太だ。好太もこの高校に入ったんだ。」
まさか適当に選び入った高校に自分の初恋の人がいるなんて思わなかった・・・
佐藤優梨菜、僕が小さいとき近所に住んでいて遊んでくれた人。僕は小さいときから、『優梨姉』って呼んでいる人だ。
「なんで・・・優梨姉が?」
「なんでってここの三年よ。私」
知らなかった優梨姉がこの高校にいるなんて、中学の時は優梨姉とちがう中学だから小学五年の時くらいから会っていない・・・
数年会わなかっただけでこんなに優梨姉が綺麗になってるなんて思いもしなかった・・・
すると突然、優梨姉が近づいてきたかと思うと、ムギュっと頬つねった。「最近、遊びにきてくれないから嫌われたかと思ったぞ!」
「優梨姉、痛い・・・」僕がそう言うとパッと手を離す。
頬を擦る僕を見て優梨姉は可笑しそうに笑って、「あはは〜好太変わってないね!まぁこれからよろしくね!」
そんな優梨姉を見て僕も不思議と笑顔になり、
「よろしく。優梨姉・・・」
優梨姉は僕の言葉にニコリと笑顔を返してくれた。
久々の再会にも関わらず、前のような笑顔を浮かべてくれる優梨姉がなんだか眩しい…。
「好太、大きくなったね?」
僕の顔を覗き込むようにして見上げてくる。
あの頃は、まだ優梨姉のほうが背が高かった。だけど今は、僕が優梨姉を見下げる形になっている。
「格好良くなった」
優梨姉のストレートな言葉に思わずドキリとする。
「あ…HR始まる」
なんだか、気恥ずかしいような気持ちになって、僕は慌てて話をそらした。
「本当だ!じゃあ、私行くね」
「うん…バイバイ」
軽く手をあげると、優梨姉は大きく手を振り返してくれた。

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す