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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 6

気付かれないように深く空気を吸い込み、仮面を被る。
「そういえば、今日急いでるんだった」
簡単に口から出る嘘。準備が出来てれば、嘘がバレない自信があった。
「…そっか。じゃあね」
「渋谷君、バイバイ」
「うん、じゃあまた…」
…一人での帰り道。MDを最大音量にして自転車を漕ぐ。誰の声も聞こえてこない。…昨日の帰りのことが急速に蘇ってきた。無数の陰口…もし、今日も優梨姉と帰っていたら同じことが起こっていただろう。
僕はまだ…何も変わってない…きっと、昨日みたいな陰口を聞くはめになるのだろう…そんなの…そんなの耐えられない…!!
耐えられないけどどうやって変わればいいんだろう?
焦れば焦る程何も浮かばない・・・
とりあえず落ち着こう。そんな事を考えてるうちに家に着いた。
自分の部屋にいきおもむろにノートを取出した。
「とりあえず自分の悪いと思うとこノートに書いてみよ。」
悪いとこ、悪いとこ………
そーだなぁ…とりあえず、『暗い』かな。
「く・ら・い、っと」
呟きながらノートに書き込む。自分でも嫌になるほど、僕は陰気だ。前髪が完全に目を覆っており、僕の表情は誰からも見えない、それは、誰とも目を合わせる必要がないってこと。でも、その前髪が暗さをより一層引き立てている。
この髪型も悪いイメージだから取り敢えず髪型を変えてみよう。
僕は暗いと書いた隣に矢印を書いて自分の改善案を書いてみた。
「髪型を変える・・・っと。」
あとは、髪の色も地味だよな・・・
周りには金髪やら茶髪やらがわんさかいるから、めただないよな。
でも髪の色って自分の意思だし周りがしてるからってする必要ないか・・・髪の色は取り敢えず保留・・・
「あとは…」
声が小さい…これは結構な悩み。大きい声を出そうと思ってもなんだか怖い。僕の声に耳を傾けてくれる人がいるだろうか、そんなことを考えるとどうしても声が小さくなる。
「あー…あー…あー…」
意味なく声を出してみる。なんだかとってもアブナイ人になった気分。

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