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仮面少年の恋
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仮面少年の恋 5


視線からやっと解放されたのは放課後だった。
僕は、誰もいなくなった教室でぐったりと机に突っ伏していた…。
「好太、また寝てるの?」
クスクスと笑い声が聞こえてくる。心地良い、この声は…ガバッと体を起こすと優梨姉が教室のドアのところに立っている。
あぁ〜、夕日にてらされた優梨姉が天使に見える…。
「どうしたの?疲れてるよ?」
優梨姉が僕の前の席に座り、顔をのぞきこんでくる。
「ん…?うん…色々あってね」
「色々?」
「そ、色々」
「…大丈夫?」

優しく頭を撫でてくれる…気持ち良い…気持ち良いけど…駄目、だよな。
僕は、優梨姉の手からさりげなく逃げた。
「大丈夫」
無理して笑う。しかし、無理してることなんてお見通しなのだろう。優梨姉に頬を軽くつねられる。
「嘘吐き」
その言葉に僕は苦笑を浮かべる。
優梨姉の言葉、一つ一つは凄く優しい…優しいけど、それは『お姉ちゃん』としての優しさ。
「帰ろう?」
すっと立ち上がると、優梨姉は傷付いた表情をした。
ごめんね、優梨姉。
僕は、心の中で謝る。
だけど、いつまでも頼りたくない、甘えたくないんだ。

「あれ?渋谷君まだ居たんだ」
夕日に照らされた二人っきりの教室に、聞き覚えのある声が響く。
この声を聞くのは昨日ぶりだ。
「……西島さん……」
「こんな時間まで何してるの?」
「…いや、別に」
「そう」
「好太の、お友達?」
うまく話せない僕を優梨姉がさりげなく助けてくれる。
「はい、よろしくお願いします」
「私は、三年の佐藤優梨。よろしくね。えーっと…」
「西島梢です。梢でいいですよ。佐藤先輩」
「私も優梨でいいよ、梢ちゃん」
て、なんで二人でほんわかした空気作ってんの!?二人で盛り上がってるから僕はすっかりかやの外。まぁ、助かったけど…そっと西島梢を盗み見る。昨日の鬼のような顔を知っているため、今の優等生面がどうしても嘘っぽく見えてしまう。
まぁそんな事考えても仕方ない・・・
それにまだ僕にはやる事がある。
優梨姉の『特別』な人に優梨姉に釣り合う人にならなきゃいけないから・・・
話が盛り上がってる優梨姉と西島梢を置いてこっそり忍び足で帰ろうとした時、
「あれ?好太。どこ行くの?」
やっぱり優梨姉にはバレるみたいだ。

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