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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 4

マニュアル本じゃ、駄目なのか?しばらく悩んだ挙げ句、そう結論付けた。次に雑誌のコーナーで立ち止まる。
へぇ…『こんな男は嫌われる!!特集』『女性100人に聞いた!付き合いたい男の条件』………って、僕は別にモテたいわけじゃない。ただ…優梨姉につりあう男になりたくて、今の仮面少年ままじゃ駄目だと思って…それで…。あぁ…なんか頭痛くなってきたな…。
今日はもう帰ろうかな。溜め息を一つ吐き、クルリと方向転換する。
…ん?
どこかで見た顔があった。漫画コーナーでチラチラと辺りを見回している。さっきの僕並みに挙動不審な人物。
誰だったかな、と考えていると、彼女の手が漫画本の一つへとのびていった。そして………万引き。
生で初めて見た。そして、同時に誰だかわかった。
「西島梢…」
思わず名前を呟いてしまったのは、本当に驚いたから。
顔良し、頭良し、性格良し…全てが揃っている女の子。もちろん、クラスの人気者で、誰にでも好かれている優等生…だと思ってたんだけど…。

僕の呟き声が聞こえたのだろうか、彼女が、素早く振り向く。またまた驚くことになる…彼女は鬼のような形相だった。普段の優等生面からは想像出来ないほど…。
彼女は足早に僕に近付いてくる。ヤバい…逃げなきゃ。とっさにそう思った。食われる…!!
しかし、間に合わなかった…彼女は僕の腕を凄い力で掴むと、出口へと向かう。な、なんだ!?痛いし、怖い…く、食われる、これは、本気でヤバい…。
しばらく、彼女の手を振り払うことも出来ず、引っ張られ続け、気が付けば人気のない公園…彼女が振り向き、僕の顔を睨む。
うっ…蛇に睨まれた蛙状態。
「…見てた?」
「な、なななんにも、み、見てない」
…動揺しまくりだ。そんな僕の反応に西島梢は目を丸くしている。
「はじめてみた」
「え?」
「そういう反応」
あぁ、なるほど。自然に自嘲気味な笑いが浮かんだ。僕が人間らしい反応をしたのがそんなに不思議だったんだ…冷静な気分を取り戻す。
「…見たけど、誰にも言わないよ」
ジッと彼女が僕の顔を眺めてくる。真偽を確かめているようだ。僕は一つ溜め息を吐いた。
「それに…僕が言っても、誰も信じてくれないだろうし」

そう告げると、納得したのか西島梢が頷く。
「僕、もう帰っていい?」
あんまり関わりたくない。第一、本屋に自転車おいてきたし…。


次の日。結局、昨日は無駄に時間を使ってしまった気がする。本屋でなんの収穫もなかったし…そう、それにもう一つ、西島梢の存在。朝から僕にチラチラチラチラ視線を送ってくる。僕はその視線に気付かないふりをしているが…どうも視線が痛いし、落ち着かない。別に君に興味味なんてないから放って置いてくれよ…そう思うのだが、伝わらないらしい。僕は心の中で溜め息を吐いた。

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