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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 31

ゴリ男の一言で僕の中の何かが壊れた。
「お前に…」
「あん?」
「お前に、何がわかる!」
気がつくと、僕はゴリ男に掴みかかっていた。ゴリ男は、抵抗することなく、僕に掴まれている。
「強いお前に、何が!」
ぐっとゴリ男を睨みつける。思わず、手を離してしまった。
冷たい瞳。
その目を見ただけで、僕はゴリ男に負けたのだ。
「なんだよ?言いたいことがあるなら、言えよ」
うつむいてしまう。ゴリ男の目を正面から見られない。冷静な僕が…弱虫な僕が逆らうなと言っていた。
もういいじゃないか…
僕は頑張ってる。
頑張ってるんだ。
外見が変わっただけでも大きな進歩だよ。
ふっと表情を崩した。何もかも諦めた、そんな顔。
―ドカッ!!
腹に強烈な一発をお見舞いされた。
「調子に乗ってんじゃねぇ」
三村達とはちょっと違うニュアンスで放たれたゴリ男の一言。その意味を問う前に僕は意識を手放した。

ーポタリ
頬に冷たい感触がして、僕は意識を取り戻した。じんわりとした痛みに耐えながら目を開けると目の前には天使がいた。
「…ここは、天国?」
天使は困惑したように首を傾げている。
「好太、頭、打ったの?」
「いや…」
軽く首をふり、辺りを見回す。どうやら保健室にいるらしい。ゴリ男が運んでくれたのだろうか?そして、一番の疑問。なんで天使…もとい優梨姉がここに?
「梢ちゃんが教えてくれたの」
疑問が顔にでていたのだろうか?
「それで…なんで泣いてるの?」
頬に当たる冷たい感触は優梨姉の涙だった。
優梨姉はきゅっと一回まばたきをしたあとに、呟いた。
「ケンカ、したんでしょ?」
ケンカ?あれは、ケンカというよりリンチに近いが…しかし、リンチなんていったら更に面倒臭いことになりそうなので僕は肯定も否定もしなかった。
「どんな理由があったかしらないけど、ダメだよ」
弱々しい優梨姉の言葉に悪くないはずなのに罪悪感がこみあげてくる。
「…ごめん」
「うん」

僕より強い人だった。
いつも守ってもらってた。
そんな優梨姉が泣いている。
しかも、僕のせいでだ。

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