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仮面少年の恋
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仮面少年の恋 3

「こーらっ!寄り道か〜?」
突然、後ろから頭をこづかれた。振り向かなくたって、誰だかわかる。
「…優梨姉」
「やっぱり、ここにいたぁ」
優梨姉が僕の隣に座る。
「いつもいじめられたら、ここで泣いてたよね〜」
「そう…だったかな」
僕がとぼけると優梨姉は少しだけ笑った。
「泣くなぁ、男だろ〜?」優梨姉が僕の頭を乱暴に撫でてくる。
「…泣いてない」
「あはは」
優梨姉の手が頭から離れていく。
「さ、帰ろうか?」
昔と同じ、優梨姉。いつも、何も聞かずに優しく慰めてくれる。

優梨姉はなんで僕の事を気に掛けてくれるのだろうか?
それは昔から気になっていることだ・・・
さっきだってまわりの陰口を聞いてたはずなのに・・・
「優梨姉、優しいね、昔から」
「当たり前だよ」
「え…なんで?」
「だって好太は、私の大切な…」
言葉をきって、優梨姉は、はにかみ笑顔を浮かべた。「大切な…弟だもん」
………オトウト。
「放っておけないよ」
…僕は一体何を期待していたのだろう。
当然じゃないか。
朝、優梨姉が声をかけてくれた時、覚えていてくれたことが嬉しかった。
昔の気持ちを思い出して心が弾んだ。
この気持ちが、愛とか恋なのかわからないけど、一つだけはっきり言えることがある。
僕にとって優梨姉は『特別』な人。
だから、僕も優梨姉の『特別』になりたい。
弟なんかじゃなくて…。
でも、今の僕は…弱い。
昔みたいに優梨姉の優しさに守られている…甘えている。
今のままじゃ、駄目なんだ。
変わらなきゃ…いけない
変わらなきゃ………。



優梨姉と別れたあと、僕は自転車をタラタラ走らせていた。
変わらなきゃとは思ったものの、どう変わればいいかとか何をすればいいのかだなんて具体的なことは、思い付かない。
まずは……まずは……まずは?
な、何をすればいいんだろう?
しまった…初めから挫折寸前だ
…とりあえず、本屋にでも行ってみるか。何かのヒントになるかもしれない。
僕は商店街の中の本屋に向かった。
「いらっしゃいませ」
僕が向かったコーナーは…マニュアル本。変わる方法が思い付かなかったから、とりあえず何かのきっかけになれば…と思ってきたんだけど…予想外の量に驚いた。
『人に好かれる1000の方法』
…いや、1000も実行出来ないよな
『あなたもこれで絶対変われる!!…かもしれない』
絶対と言いつつ、かもって…どっちなんだ?
『神からの啓示〜読むだけで救われる〜』
…興味あるけど…関係ない。ある意味、危険だ。なぜ、この本がココに?
適当に本を取り、パラパラとめくる。うーん…なんか違う。僕は色々な本に手をつけながら、唸っていた。他からみたらかなりの不審人物に違いない。

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