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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 29

はぁ!?また、わけのわからないことを言い出したよ。
三村にわからないように、プリントに『ムリ』と書く。チラリとその文字をみた西島さんは返事を返してくる。
『ダメ♪』
音符付きですか。でも、僕には無理。というか、自分にふりかかった火の粉ぐらい、自分で払い除けてよ。僕は西島さんの返事を見ないふりをした。
「早く帰ろうぜ」
はっきりしない西島さんに嫌気がさしたのか、三村が強引に西島さんの腕を掴む。
「きゃっ」
あーあーあー、今のはいただけないなぁ。西島さんだって一応、女の子だし。
気が付くと僕は三村の腕を掴んでた。
「あん?」
三村は、僕の行動に一瞬驚いたが、すぐに凄んで睨んでくる。
ヤバい、怖い。
「嫌がってるよ」
聞こえるか聞こえないぐらいの声で呟く。
「んだと、こら」
さっきまで西島さんを掴んでた手が今は僕の胸ぐらを掴んでいる。こうなったら、ちょっと卑怯だけど
「バレー部、いーの?」
三村の目が止まる。聡明な三村は一瞬でその意味を理解したようだ。
「暴力で出場停止、か」
―ドンッ!!
凄い勢いで僕を突き放し、ぐっと僕を睨みつける。しかし、手を出してこないとわかった今、怖さはない。
「さすが頭のいい三村くんだね。言っただけでわかるなんて。」
精一杯の皮肉。
「それにこれ委員のプリントなんだって、まぁ僕はやる事もないから西島さんの手伝いしてたんだけど・・・これって本当は三村くんの仕事だったりするよね」
うわっ!なんか僕すごい事言っちゃった気がする。
ヤバいかも・・・いろんな意味で・・・
「ちっ」
三村は軽く舌打ちをし、出て行った。どうあがいても、自分の有利な状況にはならないと理解したのだろう。
「60点」
「は?」
「相手の弱味につけこむなんて、なかなかやるじゃない」
悪魔の笑みを浮かべている。うわー、汚い笑顔。
「あ、うん」
素直に肯いてしまった。
釈然としない気持ちを抱えながらも、大人しく従ってる僕。奴隷気質なのかなー。ちょっと、不安になってきた。そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、西島さんが最後に嫌な一言を呟いた。
「でも、三村君がこれで終わるかしら?」
西島さんの言葉はすぐに現実になった。
「もう終わりか?」
視界に入ってきたのは、汚い靴の裏。軽く腹を蹴られる。
なかば、拉致のような形で屋上に連れていかれ、リンチ中。多少は予想していたが、三対一はさすがにずるくないか?
「おい、顔はやめとけよ」
ニヤニヤしながら、三村が指示をする。三村は一切手を出さない。
「バレたら面倒だからな」

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