PiPi's World 投稿小説

仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 26
 28
の最後へ

仮面少年の恋 28

「ふーん…」
「お喋りは終わり!手、動かす」
「はいはい」
それから、シャープペンを動かす音だけが静かな教室に響く。
暫くプリントに集中していると…
━━━ガラガラガラ。
部活だったのか大きなバックを担いだ三村が現れた。
「あれ?梢じゃん。何してんの?」
はいはい、僕は無視なのね。
「委員のプリント」
「へぇ、大変だな」
むっ…なんだ、その他人事みたいな反応。僕が文句を言おうとしたことを敏感に察知したのか西島さんが目で僕を制する。
「三村君は部活終わったの?」
「ん?あぁ」
三村は机の中をゴソゴソをあさっている。
「あったあった」

「忘れ物?」
「そ、ケータイ」
携帯を西島さんの目の前にぷらつかせてみせる。
「しかし、梢に会えるなんてラッキー。一緒に帰ろうぜ?」
「嬉しいけど…まだ、仕事残ってるし」
「そんなんこいつに任せとけば?」
顎で僕をさしながら言う。あぁ、僕の存在気付いてたんだ。
「え…でも」
「別に僕はかまわないよ」
いつまでも続きそうな会話に終止符を打つつもりで、プリントに視線を落としたまま告げた。
「ほら、こいつもそう言ってることだし」

西島さんは、チラッと僕を見て、
悪戯を考える子供のような顔をした。
しかしその顔も次の瞬間にはいつもの仮面の笑顔になっていた。
そして一言僕に囁いた。
「下僕、追い払って。」

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す